あっちの世界ゾ〜ン第三十壱夜「歩き回る、ひと。」

かいなさん談


お久しぶりです。

あんまり怖くないお話ですが、聞いてください。


今度、清里にバイトに行くことになりました。

某国立大学付属小学校の林間学校のお手伝いです。

仕事内容もそんなにキツくはないし、バイト代も割りといいものでした。

ただ、紹介してくれた先輩は、

私とはそれほど親しいとは言えなかったということが、不思議といえば不思議なことでした。

ところが。

そのバイトは『いわく』付きのものだったということが、昨日わかりました。

つい2週間ほど前にそのバイトに行った友人Tの体験したことです。


清里にある、その施設は建てかえて間もないせいか、明るい感じのする建物でした。

そして、彼女に割り当てられた部屋は、丁度、保健室の後ろにあたる場所だったそうです。

ところが。その4畳半の部屋のドアを開けたとき。

なんとも言えない、圧迫感のある『いやな感じ』。

それと、臭い。まるで、淀んだ池の腐ったような臭い。

大きな窓もあって、カーテンも開け放してあるのに、部屋の中は真っ暗に感じた、ということです。


それでも彼女は、無理やり『なんて日当りが悪くて、通風の悪い部屋なんだ』ということにしました。

そうしておかないと、その部屋にいられなかったので。


夜。

子供たちを寝かしつけた後は、引率の先生たちとのおつきあい。飲み会があります。

それを終えて部屋に戻ると、午前1時を過ぎてしまっていたそうです。

お布団に横になったとき。 

『キィ…』 音がしました。

「?」

ふと見ると、きちんと閉めて、鍵までかけたはずのドアがわずかに開いています。

「なんで?」

鍵はかけたはずだけど。うっかりしてたっけ?

彼女は起き上がって、ドアを閉めにいきました。今度は、鍵がかかったことをしっかり確認して。


また横になって、眠ろうとしたとき。

『キィ…』 今度はさっきより大きく、ドアが開きました。

このとき、彼女はドアのほうを向いて横になっていたので、その全部を見ていました。


これは、なんだか、かなりヤバいかもしれない。


誰もいない廊下が見えたとき、彼女は思ったそうです。


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すみません。たいして怖くない上に、長くなってしまいました。(しくしく)


そして彼女はどうしたか。

『寝てしまえば、怖くない!!!!!』

ということで。頭から布団をかぶって、寝てしまおうとしたそうです。

でも。そんなに、世の中、甘くはありませんでした。


布団を被った、その瞬間。金縛りで動けなくなってしまいました。

これまでそんな体験を一度もしたことのなかった彼女は、

かなりのパニックをおこしてしまいました。


加えて。誰かが、部屋のなかを歩き回る気配が。

お願い、私を踏まないでぇっっ。

その上、なにかしゃべっている。

誰と? 

…布団の上に乗っかっている人とだぁ!!


ようやく、彼女が自由になれたときには、東の空が明るくなっていました。


次の夜。

やはり、彼等(?)はやってきて、彼女は眠れない夜を過ごしました。

電気をつけていても、見えない彼等はお構いなしだったそうです。

帰ってしまいたかったけれど、いかんせん、清里と東京では、距離がありすぎ、

他に空部屋もなく、同行したのは男性ばかり、という状況では、誰かと同室にしてももらえず。

言葉にしがたいバイト経験になってしまったということです。



で。

私がうっかり、10月分のこのバイトを引き受けてしまったのを聞きつけて、

何人かのこのバイトの経験者が体験談を語ってくれました。

みんな、大体同じ内容です。

突然開くドア、姿の見えない歩き回る人と、押さえつける人。二人(?)の話声。


ここに、私も行かねばならないかと思うと、個人的にめちゃめちゃ怖いです。

ヘンなの連れて帰ってきちゃったら、どうしようとか。

でも、この20数年間、霊感マイナス値だった私にも、何かわかるんだろうかと思うと、

不謹慎ながら、ちょっとわくわくもしてしまいます。

10月後半、ここに実体験を書き込める日は来るのでしょうか?





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