あっちの世界ゾ〜ン第六十弐夜「霊感体質」

優さん談


私の友人にSさんという方がいます。

彼女はいわゆる霊感体質の人で、見たり、感じたり、声が聞こえたりする人です。

テレビで自称霊能者が「出る」といわれるところを探索しているシーン等を見ていると、

「そこにいるのに見えないの?」とか「違うよ、そこじゃないよ」といって彼女の母親と、

テレビに映っているその自称霊能者の無能さを暴露するような方です。

(ちなみに彼女の母親も見ることが出来るそうです。

霊感というのはやはり遺伝するのでしょうか?)


さてそんな彼女と共にとあるイベントへ行った帰り道、

私たちは他の友人2人を合わせた4人でバスに乗りました。

バスはひどく混んでいて立っているのがやっとという状況だったのですが、それでも

私たちは4人でかたまっておしゃべりなどしながら目的地につくのを待っていました。

ふと気が付くと、Sさんが黙りこくって額から汗を流しています。

「酔ったの?」

そう私は声をかけました。

するとSさんは・・・

「さっきのイベント会場で、4人ばかり連れてきちゃった・・・・」

『誰を?』とは聞かずともわかります。

Sさんはイベント会場からここまでずっと、幽霊を4人も背負ってきてしまったのです。

「お母さんっていってる。小さな子供みたい。

違うっていってるんだけど離れてくれなくって・・・・」

ほとほと困った様子の彼女に、

私たち3人は自分達に何か出来ることはないかと聞きました。

するとSさんは手を握ってほしいといってきました。

よくわからないのですがSさんの除霊・・・というか自分に付いてきた幽霊に

どっかに行ってもらう方法というのは、生きていく活力、生命エネルギーのようなもの

(いわゆる「気」と呼ばれているものではないかと私は思ってます)で

無理矢理引き離すんだそうです。

ですが複数の幽霊につかれているとそのエネルギーがどんどん

抜かれていってしまって、除霊するどころの騒ぎではなくなってしまうらしいのです。

ではそうなってしまった場合どうするか?

別な人からそのエネルギーを分けてもらうのです。

まず別な友人がSさんの手を握りました。

しかし幽霊は一人も離れてくれないようです。

エネルギーが足りないのだろうと思い、もう片方の手を今度は私が握りました。

その直後、私はとても不快感を覚えたのです。

なんといえばいいんでしょうか。

脳髄から何かが抜け出ていくような、

無理矢理何かを引き出されているような・・・そんな感じが延々と続くのです。

次第に私も冷や汗をかき始め、息が荒くなってきました。

きったと側から見れば、Sさんのようにバスに酔ったように見えたことでしょう。

そして20分ばかり時間が経ったでしょうか・・・・・

バスが、目的地に着きました。

それと同時にSさんがこう言いました。

「・・・・ありがとう。全部はなれたよ」


後になって教えてもらったのですが、

私が手を握った瞬間幽霊が2人びっくりしたように離れていったんだそうです。

これにはSさん自身も驚いたようでしたが、私自身には何の覚えも有りません。

霊感らしいものもないし、不思議なことといったら前回お伝えした

小さな光程度だし・・・ただ人よりちょっと頑丈かなぁとか思うぐらいです(笑)

ただあの不快感はできればもう二度と味わいたくはないですね。


幽霊につかれるとあんな感じなのかぁ、という勉強にはなりましたが。





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