あっちの世界ゾ〜ン第六十五夜「鬼墓」

もりしんさん談


どうも、もりしんです。

首だけの男が好評だったようなので第二弾をお送りします。


もう10年も前の話になります。

私が高校2年の夏休みにバイト先のみんなでよく恐い所巡りをしてました。

関西では結構有名な舞子墓地や名古山霊園、烏ケ池貯水池、ひよどり越大橋、

六甲山など、そのなかでも今回ご紹介するスポットは六甲山(旧六甲牧場)の鬼墓 です。


その日もバイトの先輩たちを入れて車二台6人で六甲の頂上に行こうとしていました。

時間はバイトが終わってからだったので午前1時は軽く回っていたと思います。

六甲のクネクネとした道を走っている時、後続の車がこない事に気付き車を止めると

森林植物園(多分)という看板が見えました。

本道から脇道にそれるその道は真っ暗でいかにも不気味でした。

後続の車が追いついてきたのでその脇道に入ろうという事になったのです。

車で入っていくと元々牧場だったので広場が

あったりして見渡せる事もあり恐くはありませんでした。

でも、車を進めていくうちに

道は未舗装で細くなり道の両脇には2m近い草が覆い被さってきそうです。

これ以上車では進めなくなりみんなで歩いて更に進もうということになりました。

しかし、その時は懐中電灯が一つしかなく、

ただ霊感があるというだけで私が電灯を持って先頭を歩かされたのです。

道は夕立のせいでぬかるんでおり水溜まりがあちこちにあります。

2、3分歩いたところ平坦な所に出ました。

よく見ると工事現場のように色々な道具や足場造りのパイプ材などが散乱しています。

どう見ても長い間放置されているように見えました。

私は懐中電灯で回りを照らしていましたが

突然1人の先輩が私の腕を掴みある場所を照らし出したのです。

そこには4、50cmくらいの石がありました。

2、3人で確かめに行くとその石は墓石みたいで

枯れた花や倒れたコップなどがあり、その石には一文字の字が彫られていました。


鬼と。


その瞬間さっきまでの風がピタッとやみ、

どこからともなくうめき声みたいなものが聞こえてきたのです。

私達は一斉に逃げ出し、

その墓を見ていない人も私達の驚きにまた驚いたようで同じように逃げ出しました。

車に逃げ帰りとりあえず頂上まで一気に走らせました。

墓をみていなかった人達に逃げた事情を話すとその中の一人が

「それ、聞いた事ある!探してたんや。」と言うのです。

話を聞くとこうでした。

その人は知人に鬼墓の事を聞いていたそうなのですが

その知人も人伝いに聞いていたので場所の特定ができなかった。

で、その鬼墓というのは昔、旧六甲牧場を拡張しようとした時、

その鬼墓がある場所に動物の小屋を建てたそうです。

しかしその小屋に飼っていた羊や牛が 一晩で数十頭、

何者かに虐殺され小屋もめちゃめちゃに壊されたそうです。

そして餌倉庫を作り直し飼育員が夜、数名で餌倉庫の掃除をしている時、

その場所の切立った崖の下からうめき声と一緒に無数の餓鬼が現れたそうです。

その餓鬼たちは飼育員に襲い掛かろうとしましたが、間一髪飼育員は全員助かったそうです。

そしてその場所には供養のための鬼墓を建て二度と近づかなくなったそうです。


その場所は昔(江戸時代以前)飢饉で沢山の人が飢え死にした場所だそうです。





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