あっちの世界ゾ〜ン第八十夜「聖湖」

にぎりっぺ大将さん談


さてこれから書く事はもちろん本当においらが体験した事で久々に怖かったお話です。

3−4年前夏の時中国、四国地方は長い事雨が降らずどこのダムの干上っていました。

特に四国はひどく断水がかなり続いてました。

その中でも広島はマシなほうだったのですが、

8月のはじめぐらいからとうとう定期的な断水が始まりました。


お盆を過ぎたころにはどこのTVでも今日のダムの水位はなんて毎日やってました。

そこのダムからもいろんな昔のものが現れてきて墓場を暴いているような感じでした。


そう今思えばこんな風に思えるのになぜあの時はあんな馬鹿な事したんだろうまったく。


お盆も終わりかけた14日か15日おいら達は

高校の時の悪友達と3人でキャンプに出かけました。

行く場所は決まってなくとりあえず市内から山へと定番なルートを走っていったのです。


途中で買い物を済まして本格的にいろんな所を物色しながらドライブしていると

おいらの目に聖湖の看板が目に飛び込んできました

国道を折れて細く曲がりくねった道を進むとキャンプ場が在ったのですが本格的な

キャンパーなおいら達はそのキャンプ場には目もくれずどんどん奥へと進んでいきました。

ダムのほとりに沿って続く道をそれから

20分ほど走ると獣道のような道がダムの水際のほうへと降りていました


おいら達が車で下りていって目にしたものは干からびたダムの底でした。

おいら達はダムの底でキャンプ出来るなんて

最初で最後だからとダムの底でテントを張りました。


夜もふけてきて寝ようということになり

トンとに入ると3人とも何故かすぐに眠りについたのです。

いつもならそれから延々といろんな話が続くのに。

川の字で一番外側に寝ている俺に異変が起きたのは2時半をまわった時でした。


顔になにかが落ちてきたのです。

ぽた。そしてまた。

ぽた。

反射的に雨かなと思って耳を済ますとなにも聞こえてきません。

夜露でテントが濡れているんだ と思いテントを触ってみれば、乾いているんです。

テントの内側は!

でも確かにおいらの頬は濡れているんです。

ヤバイと思い目をしっかりつむると今度はテントに何かが落ちる音が。

ぽたぽたぽたとその数は増えていきました。


何だやっぱり雨だったんだ。そんな風に思った瞬間おいらの背筋は凍りつきました。


その音はなんとおんなじ高さから聞こえてきていました。

それも同じ間隔で。テントの周りを一周するように。

誰かが指でつつく音だったんです。テントを!

テントをつつく音は聞こえるんですが足音が聞こえません。

もし人間がつつくのであれば必ず足音は聞こえてくるはずです。

おいらはそのことに気づいて目をしっかりと閉じ隣の友達にくっついて眠りました。


次の朝友達は音には気づいていたけど気にせずに寝つづけた。と

豪傑振りをアピールしていたけど確かにそれは寝とぼけていただけだと分かりました。


今思えばあんな町の墓場のような所でやるんではなかったと反省しています。

それとあの時確かめるためにテントの外に出ていたらと考えると今でもぞっとします。

ちなみに聖湖は島根県と広島県の境ぐらいにあります。





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