あっちの世界ゾ〜ン第八十壱夜「写真」

AAJさん談


この間、夫との外出から家に帰ってくると、

ペットのうさぎのモモちゃんが何やら怯えています。

いつもなら足音でわたしたちだと分かって、喜んでオリの出入り口に

走りよってくるのですが、オリの隅にちぢこまって目玉をひんむいています。

「おいおい、何を怯えてるんや、モモちゃんおいでおいで」

などと言っているうち、モモちゃんも安心して寄って来ましたが、

その時、部屋のドアが突然「がちゃっ」といってひとりでに開きました。

ドアはきちんと閉められていて、

少しの風などでは決してひとりでに開くことはありません。

夫とわたしは本当にビックリしてしばらく顔を見合わせていましたが、

この部屋では他にもなんだか色んなことがあるので

「う〜ん、何かの間違いかな?」なんて二人してとぼけていました。


その夜中、あっちの世界ゾーンの怪談をとても長い時間読んでいるうち、

わたしはおトイレに行きたくなってしまいました。

いつもならわたしはそういう時でも全く怖さなど感じず平気でいるのですが、

その日に限って妙に怖くて仕方がありません。

わたしは仕方なく夫に「ついてきて」と頼みました。

夫は、わたしが絶対にそういうことを言う類いの人間ではないのを

知っているので気味悪がりましたが、ついてきてくれました。


その後は何事もなく眠ったのですが、

翌日(休日)の昼間、夫の友人からの電話で起こされました。

夫は何やら深刻そうに話していました。

何だったの?と聞くと、ゆうべ、夫の古い友達が自殺をした、という知らせでした。


ちょうど昨日の昼間、夫は押し入れの奥から、

その友達も写っている昔の写真の束を出してきたところでした。

引っ越し以来、6年振りくらいに出てきた写真です。

昨日、ドアがひとりでに開いたのは、

その友達がやって来たのかなぁ、なんて夫と話していました。


おしまい。





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