あっちの世界ゾ〜ン第八十四夜「レアな話」

ちゃるさん談


これはまだレアな話です。

渦中の男女がこの度めでたくよりを戻しました。

願わくば次回には生き霊は見たくないものです。


話は同僚の恋の悩みを聞いたところから始まりました。

いわゆる社内不倫で、彼の方は妻子持ち、課長ですが、彼女の方がちょっと年上です。

彼女と私はいわば飲み友達で(うちの会社、飲む女性がいないんです)

今までも何回か飲みに行ってたんですが、

半年ほどまえに、彼女が彼との関係について愚痴をこぼしはじめましたのです。

彼はいわゆる、外のことを絶対に家庭に持ち込むタイプではなく、

よくいう「ずるい男」なのですが、「気がつく」「やさしい」

ところからパートのおばさん・取り引き先からの絶大な人気があるという人です。

仮に加藤君としておきます。彼女は仮に直美さんです。

「加藤君が浮気をしている!!」「相手は××社の○○子さんだ」「証拠があるっつ!」

直美さんがこんなに激昂するのは酒の酔いだけではないようでした。

直美さんはいつもはとても冷静な人です。

時間が経つに連れ、私はだんだんつらくなってきました。

ちょっと直美さんに批判的なことも言ったと思います。

すると「○○子さんの肩を持つちゃるさんも同罪だ」

「加藤君と以前一緒の営業所だったちゃるさんも加藤君に気が有るのではないか?!」

という、発言に変わってしまいました。

その晩は店の閉店頃までに、なんとか彼女も落ち着き、

家へ帰ったのですが、終電だったと思います。

加藤君の営業所の駅は私の家のある駅です。

「直美さん、家に帰れたかな」

ほけほけ考えながらホームを歩いていると、向かいのホームに直美さんの姿が!

へっ??「酔ってる、酔ってる」(@ @;

家に帰った私は風呂に入って寝ました。

翌日、出勤すると直美さんのメモがありました。

「しばらく一緒に飲みに行くのはやめましょう..私も色々考えたいので」

いつもの直美さんです。

ちょっと言い過ぎた点があったかなと思い、

「考えすぎないで..また、行けるようになったら遊びませう」とお返事。


それから2、3日して...。

夜、寝苦しくて目が覚めました。

悪夢は見る人なんですが、金縛り未経験!なので

咽喉でも渇いているんだろうと目を開けましたところ、

直美さんが後ろ向きに私のベッドの脚の方に立っていました。え!!なぜ!!

するとぐーんと直美さんの目だけが

迫ってくるのと一緒に手が延び、私の首をめざして飛んできたのです。

起き上がると、

ベッドに片足をかけた直美さんはぐちゃぐちゃの顔で私の首を絞めようとしています。

片手だけはもう首にかかっているのですが、ぐいぐい力が入っているのがわかりました。

やめって!!突き飛ばすとクローゼットにぶつかり、そのまま消えてしまったのです。

翌朝、肩に近い首のあたりがあざになっていました。


出勤して直美さんの机にメモを置きました。


「出るところが違うんじゃない?」


生き霊はこわいです。





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