あっちの世界ゾ〜ン第八夜「これであなたはスキー場に行きにくくなる?」

ぱわっちさん談




こんにちわ、ぱわっちです。

久方ぶりにあっちネタを書き込ませ戴きます。(ホント久しぶり...(-_-;)


今から書くのは4、5年ほど前に同じ会社のI先輩が、とあるスキー場で体験した恐怖のお話です。


I先輩はウチの部署ではスキー好きで有名な人で、日本各地のスキー場に1シーズンに

20回近く足を運び、つい2年ほど前には海外にスキー旅行に行ってしまった程のスキー愛好家です。

そんな彼が、ある時に友人1人(♂)と愛車RVRを駆って、とあるスキー場に行くことになりました。

スキーをされた事がある人は御分かりになると思いますが、

スキー場に行く場合は翌日の朝から滑れる様に夜発ちが基本となっています。

I先輩達は、そのスキー場に行くのは初めてだったので時間的に余裕をみて

かなり早い時間に静岡を発つ事にしたそうです。


その後、カーナビを頼りに車を走らせること4時間余り、

特にハプニングに遭遇する事もなく午前2時前くらいには現地に到着する事が出来ました。

当初の予想よりも早い到着になってしまった為、I先輩たちは車をアイドリング状態にして

スキー場側の駐車場に車を停め、仮眠をとる事にしました。

仮眠を取り始めてからどれくらいの時間が経過したでしょうか...

シートを軽く倒した程度では眠りが浅くなるせいか、I先輩はふと目を覚ましてしまいました。


I先輩「ううん...よく眠れんなぁ...」


時計を見ると午前3時...夜明けまでには、まだ数時間あります。


I先輩「まだまだ時間あるなぁ...Aの奴は眠ってるんだろうか...?」


なんとなく一緒に来た友人Aの事が気になり、I先輩は助手席の方に体を向けました。

すると助手席のAさんは外側に体を傾けて、すうすうと眠っているようでした。


I先輩「Aの奴、よく眠れるよなぁ.........あれ、でも...?」


ふと、助手席で寝ているAさんの姿に、I先輩は違和感を感じ取ったのです。


I先輩「Aの奴....こんなに髪の毛、長くなかったよなぁ...?」


一瞬の静寂の後、車内では暖房をガンガン効かせているはずなのに

I先輩の背筋に何故か冷たいものが滑り落ちました。


I先輩「.............コ、コイツ..........誰だ!?」


明らかに友人Aと『違う人物』が助手席に座っている事に気が付いたんです。

すると次の瞬間、I先輩の体はピクリとも動かなくなったそうです。

突然の金縛り状態にI先輩はひどく動揺しました。

体を背けようとしてもピクリとも動かず、目の前には『誰か』の姿が見えるんです。


I先輩「マ、マジかよ!? なんでコイツ、車の中にいるんだよ!?」


I先輩は答える者の存在しない疑問を虚空に投げつけ、ただひたすらにうろたえていました。

そして永遠に続くかと思われたこのシーンが、

次の展開を受け入れる余裕を得ないままに新たなシーンへと移り始めました。

助手席に座っている『誰か』が、ゆっくりと運転席側に体を反転させて来たんです。


I先輩「ゲッ!! 冗談じゃない!! こっちを向くなぁぁぁぁぁ!!」


I先輩の必死な心の叫びも通じず、助手席の『誰か』は尚も体を自分の方に向けようとします。

そしてついに『誰か』が自分の正面に向き直りました!!

...『彼女』は全身が透き通る様に真っ白だったそうです。

その姿がフロントガラス越しに当たる月明かりを受け、青白く輝いていました。

I先輩は『彼女』の姿に目を奪われ、ただじっと『彼女』を見続けていました。

心の底から沸き上がってくる不思議な感覚...

その正体が何だったのか分からないままに...

すると『彼女』は口元をひん曲げて『にたぁ』と微笑み、

口の端から血を流しながら『見つけたぁ』と呟きました。

その凄惨な微笑みを前にして、I先輩は意識が遠くなるのを感じたそうです。


Aさん「おい、Iそろそろ起きろよ!!」


運転席の後ろからAさんの声が響き渡り、Iさんは目を覚ましました。


I先輩「んん、Aか...お前いつの間に後部座席で寝てたんだ?」

Aさん「お前が眠ってからすぐだよ、2時半くらいだったと思う」

I先輩「............................そっか...」


深夜の出来事が頭から離れないせいか、I先輩はひどくだるそうに相づちをうちました


Aさん「やっぱり横になった方が眠れると思ったんでな、ところでさ...」

I先輩「ん?」

Aさん「3時頃にうなり声が聞こえて目を覚ましたらお前がすごくう なされてたんだよ」

I先輩「あ、そうなの?」

Aさん「そしたらさぁ、助手席に誰か座ってる姿が見えたんだけど

その人はどうしたんだよ?」

I先輩「!?」


...実はAさんも『彼女』の姿を見ていたそうです。

ただし、AさんはI先輩が連れ込んだ女性だと思い込んでたようです。


Aさん「それにしても、この寒い中、白いワンピース1枚なんて信じ られないよなぁ...?」

I先輩「おい、A!! そいつは.......!!」


その後、I先輩はAさんに事情を説明し、その話にビビッたAさんは


「スキーなんてどうでもいい!!」

とI先輩を促して結局一度も滑らないで帰ってきたそうです。


...結局、I先輩は『彼女』に取り憑かれる事もなかったみたいですが

しばらくは、『彼女』の顔が頭の中から消えなかったそうです。

そして、分からなかったのは『彼女』が発した『見つけたぁ』という言葉の意味です。


一体、『彼女』は何を『見つけた』んでしょうか?

その意味は未だに解明されないままとなっています。







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