あっちの世界ゾ〜ン第十壱夜「最後の挨拶」

マーシュさん談


こんにちは。

たまには 全然恐くないあっちの世界のお話をしてもよいでしょうか。

わたしが経験したことなんですけど。


私が小学校2年生の頃(だと思った)、我が家では柴犬を飼い始めました。

ものすごくありがちな「コロ」という名前をつけておりました。

月日が経って、私が大学に入った頃 コロのおなかが膨らんできました。


フィラリアでした。腹水までたまるようではもう手後れです。


ある日、大学で

「さあ4時間目だ。これが終わったら帰ろう」と思っていたら突然獣臭いにおいがしたのです。

犬を飼ったことのある方なら分かると思いますが独特の「犬の匂い」ってありますよね。

あのにおいが犬なんているはずのない女子大の校舎の3階にただよったんです。


その匂いは ものの1分もしないうちににおってきたときと同じく突然消えました。

「ああ、コロだな…」と思いました。


家に帰ったとき、コロは眠っているかのように死んでいました。

母に聞いた臨終の時間はやはり4時間目が始まるすこし前でした。


あっちの世界の気配が分かるというのは不便なことも多いけれど

この時は本当に「分かる体質でよかった…」と思ったものです。

コロが挨拶をしていってくれたのが分かったから。


ちなみに私、あっちの世界の気配は「独特の生臭いにおい」でわかります。





     戻る