震あっちの世界ゾ〜ン・第二十九夜「死んだ人たちの目」
シオンさん談
こんばんわいたこさん、いたこさんこんばんわ。 こんばんわ、シオンと言います。 ここのこわい話って、結構自分好みというか、 読んでから少しいやな気分になるというか、後味の悪さがとても好きなんです。 私自身霊感とかもないんですが、数少ない、私の「とってもこわかったこと」のひとつです。 あんましこわくなかったらごめんなさい。 自分の小さい頃、六、七歳の頃の話です。いとこのうちで遊んでいたときの事。 私と同い年のいとこ、その妹たち二人と、庭でかくれんぼをしていました。 敷地の広い庭で倉庫や納屋、その裏にはぼうぼうの竹薮があって、 子供心に何か不気味なものを感じてました。 自分はオニにはなりませんでした。隠れるところはいくらでもあります。 私は朽ちかけた、たぶん戦前くらいから残っているのでしょう古い納屋に隠れることにしました。 納屋の扉は、木ででできていて3、40センチくらいの隙間があいていました。 何とか入り込めそう.......。 .......中は明かりとりの小さな窓があり思ったよりも明るく、古い大きなタンスがどんと置かれていて、 足下には古い土鍋や食器、たくさんの衣類など時代を感じさせるものが散乱していました。 ここだったら、みつからなそう......思わずほくそ笑んだ私。 ふと、足下でがたっと音を立てるものがありました。 .....埃をかぶった二つの古い額縁。写真側は伏せてあります。 しゃがみ込んでそれを見てみると.....。 ひとつは軍服を着た、20歳くらいの男の人の胸から上の写真。 もうひとつの方は、まん中に老人の男性、 そこに7、8人くらいの女の人男の人や子供が並んで立っています。 親類一同の記念写真という感じでした。ごくふつうの古いセピア色の写真です。 ひとつのことをのぞいて。 2つの写真の人たちの目......。...........黒目が、なかった。 その人たち全員がそうだったかどうかは覚えていません。 目の部分が真っ白だった。 まるでその写真の人たちがもともとそうであったかのように。 悪戯で誰かが塗りつぶしたとか、そんなものではなかったのは確かです。 その恐怖といったら、なにに例えていいかわかりません。 私はとにかく怖くなって、かくれんぼのことも忘れ、一緒にきていた母の元へ走りました。 そして母も元へたどり着き、親戚のおばさんがいるにも関わらず 「やだよやだよーここ、もうかえろう、もうかえろう」と泣き叫んだのです......。 実をいうと、つい最近まで、こんな事があったことを忘れていました。ただ、 「なんで小さい頃はいとこのうち、行きたくなかったんだっけ.....?」 とふと思い、よくよく考えてみたらそんなことがあったことを思い出してしまったのです。 恐怖の余り、記憶を封じ込めていたようなのです。 母は覚えていました。 小さい頃、「ぜったいにけいちゃん(いとこの名前)ちにはいかない」と言っていたことを。 その訳を聞いても、なにも話そうとはしなかったという事を。 この話を母に話してみたところ、「あー、黒目がなかったていうのは、死んだ人って ことなんだろうね。」と、こともなげに言われてしまいました(母は心霊現象を信じるとか 信じないというよりも、ごく自然のことのように受けとめる人です)。 この話は、母と私とごく親しい友人しか知らない話で、いとこには話していません。 みなさん、これと似たようなお話あったら、是非教えてください。 長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございました。 |
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