あっちの世界ゾ〜ン第三十五夜「塩の話」

シオンさん談


どうもこんばんは、シオンです。

深あっちのお話も、いよいよ終盤間近ですね。

いろいろとお忙しいでしょうが、自分も主人(になる予定なのだが)も楽しみにしております。

最後の追い込み、がんばってくださいね!

この話は恐い話、というより、ちょっと変な話です(霊は見たことないけど、

自分のってこんなのばっかしなんですよ)。

別に恐くもないし、こんな話で宜しければ、いたこさんどうかおつきあいくださいね(^^)。


あれはまだ、父が病気で入院していた時のこと。

ほぼ毎日病院にお見舞いに行くのが日課となっていた我が家では、

免許を持つ者が父の病院まで母を乗せて行くことになっていました。

その日はどうにも説明がつかないくらい、見舞いに行くのが嫌だったのです。

その当時の私は接客業をしておりまして、帰りは8時過ぎ。

仕事から帰った後は、父の病院へ、

がしばらく続いていたこともあって、大分疲れていたこともあるのでしょうが........。

兄に行ってもらおうかとも考えましたが、生憎兄は出かけていました。

結局私が病院に行くことになったのですが、どうにも気が重い。

「行くのはしゃあないけど、そのかわり即効で帰る」ということを条件に、しぶしぶ病院へ向かいました。


夜9時。面会の人たちもいない病院は、恐ろしく静かで、

自分達のスリッパの足音だけが真っ白い廊下に響いておりました。
 
病室の中はすでに照明を消していた。

私は、何故か病室に入る気すら起らず、

廊下の壁にもたれかかり、母が病室から出るのを待つことにした。

誰もいない。

帰りたい。とにかく早く帰りたい。なんだか分からんけど、とにかく、早く早く早く早く早く...........。

説明の付かない、得も謂われぬ不安。そんな渦中の中にいるところ、誰かの声が聞こえた。

ひそひそひそひそひそひそ。

話声がする。母の声ではない。もちろん父の声でもない。

耳をすますと、声の主はどうやら50代くらいの中年の男女。

会話の内容までは聞き取ることが出来なかったが、

なにやら今後の計画を立てているような感じにも聞こえた。

「保証の話でもしてんのかな」

それくらいにしか思わなかった。


しばらく聞いていて、何か変な感じがする。話声の聞こえてくる場所がどうにもおかしい。

自分の目の前には壁があって、その向こうには、父の向かいのベットの人が寝ている。

声の聞こえてくる場所は、その向かいの人の部屋の角の、下の方から聞こえてきた。


ひそひそひそひそひそひそ。

下の人の声か?

コンクリートの新病棟で?

そんなはずはない。

「きっとお向かいさんの付き添いの人だ」

そう思い抵抗があったものの、既に閉め切っている

病室を仕切っているカーテンの隙間越しにそっと覗いてみた。


誰もいない。

その向かいの人が、ひとりで点滴をして寝ているだけだった。

そういえば、その人の付き添いの人など、

少なくとも自分がここに来ている時間帯にはお目にかかったことなどなかった。

父が寝ている側の方には隣に病室があるが、向かいの人の方には病室はない。

がらんとした面会の人のための椅子とテレビが置かれているだけの場所だ。

病室を出ると、話声はもう聞こえなかった。

絶句。

じゃあ、今の声はなんなんだ?なんだなんだなんだなんなんだよおおおおおおおおおおお!!!!!

押し寄せる混乱と恐怖のぐるぐるの中で、ふと気付いた。


「そうか........。」

「そうか、行きたくなかったのはこういうことか。」


自分の中で、妙に納得した。もっとも、恐怖と疑問はまだ残ってはいたのだが.......。


やがて、母が病室から出てきた。

母に話そうと思ったがなんとなくやめ、

父にちょっと申し訳なかったな、などと思いつつ、病院を後にした。


次の日。

昨晩の恐怖をひきずりながら、私はある一つの考えに執着した。

「お守りがないからだ」

今まで肌身離さず持っていた水晶は、車で事故った時に何故か紛失してしまった。そうだ、それで.......。

すっかり忘れていた。そうだった。

病院通いを期に、粗塩を薬包紙の中に包んで持ってたんだっけ........。

ジーパンのポケットの中に入れったぱなしだった包みを取り出し、中の塩を取り替えようと包みを開いた。


「へ?」


塩が、消えていた。

2枚の薬包紙でしっかりと、薬を包むのと同じ包み方で包んだはずの塩が、すっかりなくなっていた。


「嘘だろ.......???」


塩を包み忘れた?

絶対にそんなはずはない。スーパーで買った粗塩の袋は、

開封したあとがあるし、塩を紙にのせて包む前に、味見した覚えもある(笑)。

薬包紙が破れたり、包みがほどけたりもするはずがない。

薬の包み方は、薬がもれてしまうことがないように工夫された包み方だし、

第一、自分の持っていた包みは、破れてもほどけてもいなかった。

塩自然蒸発説も考えた。が、どっちにしろ蒸発してもツブツブが残るはずだし、

元理系の相方に聞いても、「そんなのありえない」といわれてしまった

(新発見でノーベル賞狙おうと思ったのに........)。

妙なものと接してしまったために、塩さんが守って消えてくれたのでしょうか.......。

だとしたら、塩パワー、あなどれない。



ありがとう、伯方の塩!!!

伯方の塩、ばんざあああああああああああああい!!!!!


ちなみに今では、蒸発(だから、ないってば)を防ぐために、

サランラップでしっかりガードしてまーっす♪

あああ、くだらない話で、ホント申し訳ないです(いたこさんのがっかり

されている姿が目に浮かぶよう.......メール読むだけでも疲れませんか?)。

一応100%実話なんですけどね.....。

いたこさんのとこのような、あっちの世界のような超ドドドドドA級の恐い話はないけど、

たまにメールさせていただきますね。

では、お体に気をつけて下さい!

あっちの世界ばんざあああああああい!!!あっちの世界まだいきたくなあああああああい!!!!!





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