あっちの世界ゾーン第十八夜「八千代」

夢 育美 さん談





大学2年の時に住んでいた習志野市から北へ向かうと、

八千代市や鎌ヶ谷市があります。

ずーっと先まで行くと「ゴーストタウン」として名高かった、「千葉ニ○ータ○ン」と

いう団地がありましたが、夜中などは特に無気味で、

よくサイクリングをしに行ったりしたものでした。< なにもんだオメーは...(-_-;)

まぁ、若さもピークからちょっと下り始めの頃でしたが、

何となく血のたぎりを抑えきれない夜などは(あぶね〜なぁ...)、

訳も無く夜中のサイクリングに出かけたものでした。

かなりのヤバ系です(爆)。


最初はそんな理由でしたが、段々夜中にサイクリングするのが楽しくなり始めました。

夜の街っていうのは、全然顔が変わってしまって面白いんですよね。

昼間には全く目立たないものが、急に目についたりして。

いく先を決めずにふらっと出かけて、だいたい2時間くらいで戻ります。

その後で道路地図を拡げて、おぉ、ここを走ってたのか

...なんて一人悦に入っておりました。

変態ですね(爆死)。


そんなある日、前々から行ってみたいとは思っていたものの、距離があるのと、

夜中はヤバそうだと思っていたので止めていた、

「千葉ニ○ータ○ン」へ行ってみる事にしました。


いく先を決めて出たのは、この日が初めてでした。

予め地図は記憶していたつもりでしたが、やっぱり途中で道を間違えたらしく、

だんだん寂れた、森の中の真っ暗な道を走るコースになっていました。

場所だけでも確認しようと思って、電柱かバス停を捜しましたが、

どちらもなかなか出て来ません。

やっとの思いで電話ボックスを見付けました。


電話ボックスには地名と号数で固有の名前が付いてます。

それを見れば場所が分かると思ったのですが...

電話ボックスはありましたが、プレートは付いてなくて、場所は分かりませんでした。


ふと、電話ボックスから漏れる光で、側に立っていたバス停らしきものが目に止まりました。

らっき、と思って側によってみると...

それはサビサビで、絶対廃線になってうっちゃられてるに

違いないという感じのバス停の標識でした。

なんとか文字だけが「八千代なんたら」と読めましたが、時刻表なんか、

完全に消えて枠もかすれてました。

うーん、方向間違えたなぁ、戻ろうか...と思いましたが、

けっこう遠くまで来ていたので、この先まで少し行って、

今日は帰る事にしようと思い直しました。


時刻は、11:00をまわっていたと思います。

しばらく両側が竹林の道を走っていると、少し開けた十字路に出ました。

電柱と街灯があったので、何となくほっとした気持ちになったのを覚えています。

ふと、電柱の側に掘っ立て小屋のようなものがあるのに気付きました。

良く見るとその隣にバス停が立っています。

ははぁ、あれはバス停で、隣の小屋は雨避けとかバスを

待つ為の小屋なんだな、と納得しました。

しかし、屋根も壁も全部トタンで出来ていて、かなりラフ(笑)な作りです。

高さも人の背丈くらいのものでした。

ですが、私はもっと別の特徴に興味を引かれました。

小屋の前面も、ぴったりとトタンで覆われていて、つまり、

全く入り口が無い状態だったんです。

要するに、全く役に立たない雨避け小屋だったんですね。


何でだろう?と不思議に思い、近付いてみました。


すると、遠くからでは分からなかったのですが、トタンの隙間から、

オレンジ色っぽい光がちらちらと漏れているのに気付きました。


更に近寄ると、小屋の右側面が扉になっていて、中に入れるようになっていました。

な〜んだ、と思いましたが、中から漏れる光が気になります。

少しだけ扉を開けてみようとしましたが、カギが掛かっていました。


あれ?


やっぱり変だなぁ...


ふと、右上のトタンが少しはがれているのが分かったので、

思い切って覗いてみる事にしました。そこで私が見たものは...

無数に並ぶ石のお地蔵さまと、一本ずつ立てられたなん百本あるか分からない程の

大量のろうそく!!

オレンジの光は、揺れ動くろうそくの炎だったのです!!


...予想もしていない光景に、ただただ呆然としてしまった私は、

その後は猛然とダッシュで家に帰りました。

見てはいけないものを見てしまった...

と言うわけの分からない恐怖が、走っている間中背中に貼り付いて

来るようなイヤな感じが消えませんでした。


翌朝、昨夜の光景をよく思い返してみました。

人目を避けるようにトタンで囲まれた小屋。

無数のお地蔵さまとよどかけや風車。

信じられないほど大量のろうそく。

全てが幻だったんじゃないかと思えました。

でも、そうじゃなかったんです。


あれはたぶん1年後くらいだったと思います。

たまたま入った喫茶店に「お化けの住所録」(続・だったかもしれません)

という本が置いてありました。

そういうのはもちろん好きなので、注文待ちの間にペラペラとめくっていると...

一枚の写真に釘付けになりました。

そこには紛れも無い、あのトタンの小屋が写っていたからです。

ご丁寧にも中のお地蔵さまの写真もありました。

地名も記してあります。

八千代市...恐る恐る説明を読んでみました。


「見通しがいいはずなのに、事故の多発する謎の交差点!?」

たたりを怖れた住民が、交差点にお地蔵さまを祭っている...


まさにあの場所は「あっちゾーン」だったのでした。

知らなかったとはいえ、その場所にほえほえと近寄って、

あまつさえ興味本意で覗き見なんかした私は...

幸い、霊障らしきものは起こっていません。

ですが、車を買って以来、半年に一度は何かしらの事故に

巻き込まれる(大概は貰い事故です)のと、2年前に11トンダンプと正面衝突して、

脈拍停止状態までいった(血が半分以上無くなったらしいです)のが、

霊障じゃないのかと言えば、もしかしたらそうかもしれません。

あのおかげで廃車になっちゃったし。

懐が痛かった...(^^; をいをい


でも、あの現場に行ってから、最初の事故までは4年のブランクがあったんですよね...

こういうのも霊障っていうんでしょうか。

幸い、最近は2年間なんの事故にも遭いません。

でも、油断はしないように毎年、「厄除け地蔵尊」のお守りを貰いに行っています。

そう言えば、厄地蔵さんのお守りを車に付けはじめてから、事故って無いなぁ...

御利益ってあるみたいですね。



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以上です。

けっこう長文になっちゃいました、済みません。

事故の話はマジです。

最初が暴走車の追突(一般道で130Kmだしてたバカもん)、駐車場で停めておいた

車に突っ込まれ、信号待ちしてたら、急に前の車がバックして来てバンパーへっ込み。

その他自損も二件...(^^;

止めが11トンダンプと正面から勝負!でした。


事故聴取をしてくれた警官が、「普通はあの車の状態なら、100%死んでるぞ」と

言っていたのが、胸に響きました。

頭を、裂けた右のピラーで切って、かなりの出血がありましたが、その他は幸いにも、

右足首捻挫、胸部軟骨の骨折で済みました。

九死に一生って奴ですね。


ちなみに、私の廃車 (^^; は、その後警察の事故を伝えるビデオで採用されました。

ドライバーはピンピンしてたけどね。山梨県警の使ってるビデオです。

もう、変わったかな?そいでは!





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