あっちの世界ゾーン第弐参夜「虫のしらせ?」

ことりさん談


冬の夜のことでした。

私はまだ、小学生で、その日もいつもどおり、床につきました。

爆睡していた、その時です。

いきなり、真横から、すごい勢いで揺さぶられ、目が覚めました。

見ると、枕元に母が立っていて、こう言うのです。


「ことり、おばあちゃんが大変なんだよ!」


その頃、母方の祖母は、入院中だったのでした。

「ええっ!」

私は驚いて、上半身起きあがりました。

・・・起きあがったはずなんですが・・・

気がつくと、朝になっていました。


(゜-゜) 「?」


ぼんやりしていると、父が、

「おばあちゃんが亡くなったから、病院に行くよ。」

と、言いました。

「おばあちゃん、死んじゃったの・・・?」

母は、先に行っている様です。

『お母さんてば、どうして起こしておいて連れて行ってくれなかったんだろう。

子供が行っても、邪魔になるだけだからかなあ。

それとも、私、あの後、寝ちゃったのかなあ。』

妹と2人で泣きながら、タクシーの中で、そんなことを考えていました。

病院に着くと、中から母が青ざめた顔で出てきました。

祖母の遺体は、私たちが病院に着くより一足先に、

母の実家に帰ったとのことでした。


「お母さん、何で起こしてくれたのに、私も連れて行ってくれなかったの?!」

私は、母を責めるように聞いてしまいました。

「何、訳のわからないこと言ってるの。」

母が泣き出してしまい、その場は私も何も言えなくなってしまいました。

私たちは、一度家に帰って、出直すことになりました。

私の中で、わきあがる疑問。

どうしても、納得できなくて、こっそり父に聞きました。

「お父さん、お母さんは、夕べ、何時に出かけたの?」

「おまえたちが寝て、すぐだよ。電話がかかってきたから。」

おかしい、なんか、おかしい。

「お母さん、ゆうべ、私のこと、たたき起こしたよね?」

「ううん、そんなことしないわよ。」


えっ・・・


でも、そういえば・・・


私が母だと思いこんでいた、あの人。

「おばあちゃんが大変なんだよ。」って言ってた、あの人。

真横から、私を揺さぶったのに、枕元に立ってた。

小さい電気をつけていたのに、真っ黒だった。

・・・母のドッペルゲンガーだったのでしょーか。まあ、いいけど・・・、

このことがあってから、たま〜〜に変な物見るようになりました。





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