あっちの世界ゾーン第四六夜「ガリガリ...」

信長波平さん談


今晩は、皆さんは中央線沿いにある某音大にまつわる怪談話しを御存じですか?

のどかなベットタウンにある美しいキャンパス、しかしとても無気味な噂があるのです

ペンネームは冗談ですが話しはマジです。


昔(設立当所らしいですが...)その音大には個室の自習室があました。

完全防音で窓はなく、真っ白なその部屋は録音や編集までできる画期的な部屋でした。

学校側としては、音楽の録音や練習だけでなく勉強の自習室としても利用してもらいたかったらしいのですが、

生徒は、テスト前と課題作提出前、発表前しか利用せず、

それ以外はガラガラの状態だったそうです。


さて、大学も夏休みになると生徒もマバラで閑古鳥が鳴く状態になります。

そんな夏の午後、A子さんは学校にやってきました。

A子さんは、課題作を夏休み前に仕上げる為、自習室に向いました。

A子さんが自習室のあるビルの玄関にいくと受付のおじさんがいません、

本来なら、ここで学生書を預け名前と利用時間を記入するのですが、

『どーしよー、おじさんいないや、でもここで待つの暑いしなぁ〜、まっいっか...』

A子さんはそのまま自習室へとむかいました。

部屋に入るとドアを閉め、椅子にこしかけました。部屋はエレベータより少し広いそんな感じでした。

A子さんの専攻は弦楽器でした。

A子さんはバイオリンを取り出すと練習を始めました。

とことが、何回やってもうまくいきません、『これじゃ録音できないよぉ〜』

A子さんはひと休みしているうちに疲れて眠ってしまいました.......。

そのころ受付のおじさんは自習室のドアを一つ一つしめていました...中を確かめもせず...。

A子さんは知りませんでしたが、

自習室はその日の午後3時で閉め一ヶ月間使用停止になることになっていました。

おじさんは全てのドアを閉めると帰っていきました。



それから一週間後、A子さんの親友B子さんはA子さんと連絡がとれないので不安になっていました。

A子さんのアパートに行っても、ポストに一週間分の新聞が突っ込まれていて、帰った形跡がありません。

B子さんは真面目なA子さんが一週間も家を空けていることにただならぬ不安を感じ、

かたっぱしから電話をかけ、友人にA子さんのことを尋ねました。


『ね〜A子のこと何かきいてない?』

『さ〜知らね〜な〜、』


『ね〜連絡とれないんだけど』

『私知らないわよ、男でもできたんじゃない?』

『絶対おかしいわよ!』

『気にしすぎだよ!』

『何か変わったことなかった?』

『そーいえば、課題仕上げるんで、明日から自習室でカン詰だっていってたな〜』

『えっ!それいつ?』

『え〜っと..俺がバイトのあったひだから....8日まえかな?』

『だって自習室今、利用停止................よ』

とてもいやな想像が脳裏をよぎった。まっ..まさか....!

『そんなら、実家にでも帰ったんじゃん?もしもし?聞いてる?もしも〜し?』


B子は学校に走った。

受付のおじさんにワケを話すと顔面蒼白になり慌ててカギをもってきた。

1号室から順番に2、3、4とあけてゆく...。

空であってくれ、B子はそう念じながらドアを開けていった。5号室、6、7、8十と開け、

9号室を開けた時、何かが倒れてきた.......A子だった.....。

そして....A子は一言『やっと.....開けて...くれ..たぁ...。』そして絶命した。

A子の爪ははがれ、顔も服も血だらけだった。

真っ白なドアは血に染まり、無数のひっかき傷があった。

部屋の中では椅子や机そしてバイオリンが壊れ、散乱していた。

まさに悲惨きわまる光景だった。


その事件からしばらくして、その大学で不思議な噂が流れた...。

自習室で録音すると曲にまじって..ガリガリ...ガリガリ..というノイズが入るという。

ガリガリ........ガリガリ......ガリガリ..............。





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