あっちの世界ゾーン第五夜「飴の鞭」

天河 花子 さん談



これは、俺が専門学校時代のクラスメイツi(男)の体験談だっ!


iは某銀行支店長の息子だ。


iは次男坊で12才年上の兄がいる、

年をとってからできた子はかわいい・・・・。

それは、年の離れた弟にも当てはまるのだろう。

iは両親と兄に可愛がられ、ぬくぬく育った。

そんなわけで、iはかなりわがままだ。

i19才、彼(と両親&兄)に「飴と鞭」という言葉は無縁だった。


やさしい兄は、新車を買ったやさしい兄は、

iにお古の車を与えた(飴)RV車だ。


iは、喜んだ。

iは、走った。

海へ、山へ、走りまくった。


そしてある日、女をとなり乗せ山林を走りにいった。

そこに待ち受けるのは、

iの人生最大の恐怖(鞭X鞭?)とも知らず・・・・・・・。



iには彼女が2人いる(当時)。

iは最近狙っている女(3号予定)を乗せ、

夜のドライブとしゃれこんだ。


iの「男の方程式(今日こそこの女ヤル!理論)」 本人談

男らしく思われたい+やりたい=車をかっこよく乗りこなす

愛車(自慢)=RV車(はやり)

RV車=山道(心霊スポット)

山道(心霊スポット)=怖い

怖い<やりたい


というわけで、地元でちょっとばかり有名な心霊スポットへ向かった。


なれない車、暗い山道、幾重にも分岐する悪路、霧が少々・・・

iは道に迷った、はずんでた会話が止まり、

不機嫌になる女、焦るi(やりたい)。


何だかんだで1時間。

無言の二人。

流れ込む「あっちの空気」。

さらに分岐する道。

iは迷った、右か左か


「右・・」


怒で無言だった女が口を開いてくれた。

iの顔に明るさが戻った(ヤレる?)。

さらに分岐


「左・・」


iは喜び勇んで左に曲がる。

iは女の言うとおりの道へ進む。

もうすぐ山道を抜けることができる、そして・・ヌケる?。

iはそう信じていた。


「ソノママ、マッスグイケ」


女の指示は続く、

iは思った「なんか変だ!」


「モウスグ・・モウスグ・・・・」


iは気がついた、女の声がだんだんしゃがれていく事に。

ここはどこだ、iは考えた、

答えはすぐにでた、

そう、ここは地元でちょっと有名な心霊スポット。

iは恐ろしくなって(鞭?)急ブレーキを踏んだ。

道は舗装されてない、車は少々スリップして止まった。

すると霧の向こうに町の灯りが見え、眼下には崖が広がっていた。


「・・ち・・く・しょ・う・・・・」


女はそう言い残すと眠った、

いや、最初から寝ていたのだ。


数日後、iはその女と縁を切った。

無論女は、あの夜起きた出来事を知らない・・・(実話)