あっちの世界ゾーン第五十六夜「鐘一つモノ」

イカ太郎さん談


OTEF(怪鳥?)さんの復帰をねがいつつ、釣りネタを書いてみましたが、

あっちかこっちかわからなくなったので、一応、こっちのあっちに書いてみました。


中学校時代まで、私は他愛も無いレベルの釣りを楽しんでいたので、何度もいったものです。

私が神戸の鈴蘭台に引っ越してきた頃の話です。

ここには○部中学校がありますが、これが建設される数年前のことです。

この裏手に小さな沼がありました。(今はもう無いのかなぁ)


くねり曲がった細いアゼ道。

それを青い雑草がジャマをする。

ガサ、ガサ、ガサ、(雑草をかき分ける音)

私「ヘー。こんなとこに穴場があんのん。」

ガサ、ガサ

友「おう、みんな結構知ってっけどな。」

ガサ、ガサ

私「ずいぶん歩いたみたいやけど。」

ガサ、ガサ

友「んなことないって。グルッとまわってるからな。すりばち状やねん。」

ガサ、ガサ

私「ああ、ほんまや。時計周りやね。」

ガサ、ガサ

右手に沼が見えてくる。

私「ああ。ついたついた。」

友「なあ。向こう岸いかへん?。」

向こう岸…うっそうとした感じで木々がせまっている。

切り開いたように小さな土地がポツン。(6畳くらい)そのやや左中央に木が一本…。

私「ねえ。…なんか…いや…。」

彼「あっ、わかるぅ。あんなぁ、オレらのとなりのクラスな。先生がここにクラス全員と一緒にここに来てん。」

注:地域見学のことですね。

彼「それで、○○が"せんせぇ、アレなんですかぁ"って、言いよってんや。」

「ほんで、先生が"なにがですかぁ?"って言いながらクルって見たらぁ。」

「クビつっててん…。ブラーンって。おっさんが。」

私「………………………ほんま?」

(何もかも本当でした。)

彼「みんなに聞いてもいいで。さっ、向こういこっ!」


私「………………………やだってば。」


それでも不思議なことに、これ以後、私は何度もここに来ることになったのです。

誰もがめったに釣れないこのため池…。向こう岸に気を使いながら、奇妙に安らぎを覚えて…。





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