あっちの世界ゾーン第七十参夜「母」

LEDさん談


うちの母の体験をお送りします


うちの母は霊感とやらが強いらしく、しょっちゅう金縛りにあったり、死期が近い人の家の前にいくと

強烈に線香の匂いがしたり、となかなかに愉快な体験の持ち主なのですが、

これは僕が小学校二年生のときの話です。


当時僕の同級生の岡野さん(当然仮名です)のお父さんは体が悪く入院中で、

後で聞いたところによると「時間の問題」とまでいわれていたそうです。


パートに出ていた母は毎朝岡野さんの家の前を通って通勤していたのですが、

ある朝ふと見てみると喪章をつけた三人の男が岡野さんの家の前で通夜の準備をしていたそうです。

「とうとう死んじゃったのか・・・」

などと思いつつその日は仕事に向かい、帰宅後は通夜・告別式などの連絡でも入るかと

どこにも出かけずに家にいたのですが・・・何も連絡が有りません。

不思議に思いつつも「何か有ったんだろう」とかいいながらそのままにしてしまいました。


翌日仕事が休みだった母は家で家事に精を出していました。

すると夕方に母の友人から電話が入りました

「知ってる?岡野さんのところとうとう亡くなったらしいわよ」

母が

「やっぱり、昨日お通夜の準備してるところを見たのよ」

というと母の友人は

「えっ」

と絶句してから一言、

「死んだの今日だよ・・・」


こんな母ももうすぐ55歳、

いまだに寝ると金縛りや枕元を走り回る子供たちの声に悩まされる日々が続いています。





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