あっちの世界ゾーン第七十七夜「赤ん坊の頃の夢」

奥村紀子(真名)さん談


かなり昔から、同じような夢を何度も見る。

よほど怖かったことなのか、私はその夢を見るたびに冷や汗をかいている。


その夢は、夏であった。

私は赤ん坊で、布団に寝かしつけられていた。

場所は座敷、なぜか蚊帳のかわりにハエ避けの網、私は一人だった。

赤ん坊の視点というものは、すべてがでかく見えるので、とっても怖かった。

ふと気が付くと、爺さんと婆さんが私を上から覗き込んでいるではないか!

本当に突然だった。

私はびっくりして、ぎゃーぎゃー泣いた。

二人はどうして泣くのかわからず、とりあえず、じーと見ていた。

そんな夢だった。


それから何年かして、私の赤ん坊の頃の話を母に聞いた。

私を寝かしつける場所は座敷だったという。

私は気になって、

「もしかして、蚊帳のかわりにハエ避けの網で、蚊を避けてなかった?」

「誰に聞いたの」

その通りみたいだ。

母に何年か前に見た夢の話をした。

どうやら、その時出てきた爺さんと婆さんは祖父母のようだ。

母曰く、

「あんたが可愛くて、面倒みててくれたんだよ」

というが、どう考えても、怖がらせていたように思う。

人見知りの激しい赤ん坊だったため、知らない人が来るといつも泣いていたとか。


その夢は、今でもよく見ます。

本当に怖かったんだろうね。

おしまい





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