あっちの世界ゾーン第八十八夜「祟り5」

奥村紀子(真名)さん談


そーいえば、本当に世界で一人、みたいな人が近所にいます。

しかも、気の毒なことに独身です。

金、持ってます。

家、あります。

土地、あります。

車、かっこいいです。

どうしてでしょうか。


我が家の隣りに道路が出来る前、そこは畑でした。

畑の向こうには社がありました。

そう、そこは神様の住処だったのです。

その神様の住処、悪い人たちによって盗られてしまいました。

我が家の神様はどこにも行くところがなくなってしまいました。

次の持ち主は、土地が手に入ったのに大喜び。

さっそく、なにかしようとします。

そこに神様の社があるなんて、知っていたかどうかは知りません。

さて、いい場所に土地を貰ったので、彼らはどうしようか、と思いました。

ところが、不幸が続くのです。

土地には何も育てられません。

しかも、家族に不幸が・・・

さて、持ち主の息子浩治(仮名)さんは、それなりに一人立ちしてから、その土地を貰いました。

ところが、浩治さんの手に入ってから、全てがうまくいかなくなったのです。

そして、知りました。

その土地が神様に呪われていることを・・・

家を立てたのですが、いつもおかしなことが起こるので家にいません。

それでも、それなりに歳をとっていくと、帰らないわけにはいかなくなってきました。

そこで、お詫びに、お祭の時にお菓子をお供えすることにしました。

すると、どうでしょう。

怪事は起こらなくなりました。

だけど、それだけです。

次の年、お供えをしないと、また怪事が発生。

そのため、毎年、お供えをするようになりました。

それからは、いつも浩治さんは家に帰るようになりました。


しかし、やはり一人でした。

どうやら、神様は逆恨みをしているようで、一族を姑息な手段で根絶やしにしてやろうとしています。

どんなに立派な住処を与えても、追い出された恨みはでかいみたいです。


かしこみかしこみ





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