あっちの世界ゾ〜ン第九十参夜「土地神さまについてです」

夜の銀狐さん談


皆様お久しぶりです。

土地神さまの話が出ていたので、銀狐が体験したことを書こうと思います。

実話なんで、ちょっぴり怖いかも。


九州のとある町で、どこにでもあるような

ニュータウン計画がプランニングされました。

大々的に道路もでき、いざ、宅地造成に入ろうとしたときです。

銀狐に仕事の依頼がありました。

丁度公民館(集会所?)の予定地に

小さな祠が建っているのでどうにかしてほしい、ということ。

結構ありがちなネタだったので、銀狐はかなり軽装で行きました。

いつも一緒につれていく式神’sも、1匹しか連れて行っていません。

ここ10年ぐらい多いんです。そういう依頼。

ある程度までなら土地神さまは移動できるんです。

そのかわり、潔斎や後処理は激烈にきついですけど。

まずは下見だ!と思っていた矢先のことです。

その日は足になってくれる人が見つからずに、

電車で目的地まで移動していました。

もの凄くいい天気です。

銀狐はついついうとうとしていました。

「ソレイジョウチカヅクナ」

耳元で声がしたのです。

空耳ではありません。はっきりとした年輩の男性の声でした。

でも平日の昼下がりで、周囲に人の気配はありません。

・・・・何なんだ。

周囲をしばらく見回してみましたが、霊や式神の気配もありません。

すると隣に座っていた銀狐の式神が、窓に向かって急に唸りだしたのです。

はっと窓に目をやるともの凄い形相の男性が

こっちをむいてなにやらぶつぶつと言っています。

・・これは、呪詛だ!!

思わず除霊の構えをとりました。

するとその瞬間

ガシャャャャャャァァァァン!!

と音がして電車が止まりました。

銀狐もその衝撃で、通路に投げ出されてしまいました。

脱線です。

でもこれは好都合です。

乗客や乗務員が電車に気を取られている隙に、攻撃が出来る!!

もう一度今度は除霊の構えではなく迎撃の構えをとり、

その男性に向かって攻撃を仕掛けました。

命中です。

陰が散ったかな、と思いきやなんと今度はその男性が具現化したのです。

白装束を着て、長い杖を持った50歳ぐらいの姿です。

・・・やばい。

正直そう思いました。

レベルが違う。

それでも負けるわけにはいきません。

(こういう場合負ける=死ぬということになります)

攻撃を続けます。

「アタリハセンゾ・・・」

男が言います。

本当に当たらないんです。

こっちは渾身の力で攻撃しているのに

まるで見えない壁にさえぎられているように跳ね返されてしまうのです。

「オマエガワタシヲミニキタノダナ・・ナラバココデシヌカ?」

言葉が終わるか終わらないかのタイミングで縄状になった火が銀狐に巻き付きます。

銀狐は風使いなので、切り裂くのは得意です。

もちろん全力で切り裂きます。

「ウシロガガラアキダゾ・・・」

きづいたときは時すでに遅し。

そのまま長い杖が脳天を直撃し、銀狐の意識は一端途切れます。


気がついたら、目的の場所の小さな祠の前に倒れていました。

もちろん火傷だだらけです。

ふと起きあがると、銀狐の脳天を直撃した長い杖が折れて転がっていたのです。

「シニゾコナイガ・・・」

またあの声がしました。

結界を張る力すら残ってないのに、いまこられたら殺される・・・!

「ツエニメンジテ キョウノトコロハコレマデニシテオイテヤロウ・・」

それで一命を取り留めたというわけです。

気が抜けてもう一度気絶してしまいました。

その後銀狐の式神に聞いたところ、

その場所まで運んでくれたのはどうやら式神君だったらしいです。

ご主人様の危機を救ってくれてありがとう!

結局その祠はまだ、そのニュータウンに残っています。

動かそうとして、4人の方がなくなったと聞きます。

銀狐の火傷は、1週間ほど残りました。

傷の一つがどう見ても「怨」というように

見えたのは目の錯覚だったんでしょうか・・・。


以上です。

読み返してみるとあんまり怖くはないですね・・・。

なんかアクション小説のようになってしまいましたが。

今日は満月です。

月が綺麗なうちに帰ろうっと・・・。







戻る