沁あっちの世界ゾ〜ン・第六十八夜「人形寺の住職」
竹中朝夜さん談
こんにちは。実は人形の話を読んでいて突然思い出したことがあります。 多分荒俣宏かなにかの本に出てた話だと思います。 あるところに人形供養のお寺があって、ものすごく霊験あらたかだというんで、 たくさん信者さんがいたんだそうです。 で、遠くからもいろんな人が人形を持って来るんだけれども、いつもお弟子さんが 応対していて、そのお寺の住職はまったく人前に姿を現さないのだそうです。 たとえ寺社関係の人やお偉いさんが来てもそうなので、いつしか人は、住職は病気で 寝たきりだとか、実はいないんじゃないかとかいろんな噂をするようになりました。 あるときこのお寺は火事を出して、 本堂と宿坊が全焼し、住職も逃げ遅れて焼死しました。 まあ、焼死したことで図らずも住職の存在は証明されたわけですけれども、 そのうち近所で妙な噂が流れるようになったそうです。 火事の時に、本堂に弟子が住職を助けにはいると、本堂にはもう火が回っていて、 その中で、住職の衣を着た(偉いお坊さんとぺーぺーのお坊さんとでは衣は 全然違うので遠くから見ても一目瞭然なのです)木の人形が燃えていたと。 住職は本当に人間だったのでしょう か?それとも…… 個人的にはもしかしたら燃えていたのは 即身仏じゃないかと思っているのですがどうでしょうか? |
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