侵あっちの世界ゾ〜ン・第十弐夜「阿蘇山での出来事」
パフレヴィーさん談
今から4年前。大学時代の話です。 下宿の友人と阿蘇山の火山博物館の前に赤いファミリアが捨ててある らしいのでちょいと、見にいってみようと車に乗って真夜中に出発しました。 あいにく山頂付近は濃霧で、 博物館前に着いた頃にはあたりはほぼ視界ゼロでした。 ヘッドライトをサーチにうろつきながら、 お目当てのファミリアを探していると、私に猛烈な悪寒が襲いかかりました。 以前も、怖い体験をした時に感じたことのある激しい悪寒です。 とっさにヤバイと感じた私は友人に 車を止めては行けない―と、激しい口調で命令しました。 なぜなら、振り向くと私たちの背後から下顎を失い、鋭い目つきで 下半身はちぎれていたのでしょう、両腕でハイハイするように、 女の霊が車のトランクをよじ登ってくるのが見えたからです。 恐ろしさと状況が掴めない友人たちの悲鳴とで、車内は騒然としました。 その後も混乱しながら走り回りました。 と、突然前方に赤いファミリアが見えてきました。 と同時に車体が軽くなったと友人が叫びました。 とっさのことで視線を這わせただけでしたが、私はその時女の霊が 赤いファミリアへ乗り移ったのを、確かに見ました。 あの女の霊は赤いファミリアに憑いていたのでしょうか? その後、私は10日ほど高熱と悪寒で寝込んでしまいました。 今でも赤いファミリアを見ると、 まだあそこにおいてあるのだろうか―と思ってしまいます。 |
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