あっちの世界ゾ〜ン第二十弐夜「どうも。キちゃいました。」

エマ(坪内志郎)さん談


えー、役者をやっております、エマという者です。はじめまして。

職業柄、色々と地方公演にいくのですが、

私も結構、見ちゃう方なのでそんな体験をひとつ。


某公演で大阪に行った時の事です。

一ヶ月公演だったので、宿泊先は某ウィークリーマンションでした。

午前2時頃だったと思います。

急に身体が動かなくなり、目だけ開いたままの状態になってしまいました。

金縛りにはよくあうのです。

確かに、連日のタイトなスケジュールで身体も疲れていましたし、

こんなもの(金縛り)は放っておきゃ直るだろう、と思ってました。

しばらくその状態が続き、なんとか目だけは動かせる様になり、

窓に目をやりました。(その部屋は、ウナギの寝床みたいに細長く、

ベットはその中央に位置します。窓は足元側です)

薄やみの中、部屋の隅っこの方に、

身長1メートルくらいの黒い物体があったのです。

「ヤベッ」と思いました。「また怖い目に遭うのかなあ」と思いました。


まあ、案の定だったんですけど。


その物体は、ベットを時計回りに、(私の頭の方へ)近ずいて来ました。

ズルズルズルズルズル、ズルズルズルズルズルと音をたてながら。

私の後ろ45度の所で止まりました。

ふと、「パチン、パチン」という音がします。

          「パチン、パチン」

                 「パチン、パチン」

                        「パチン、パチン」  

これはもう、どうしたら解けるんだろうと必死に全身に力を込めました。

すると、首だけは動かせるのです。

音は、1メートルの物体から聞こえてきます。


「1メートルなら、勝てる!」当時の私は愚かにも、そう考えました。

首を、その黒い物体に向けました。


「パチン、パチン、パチン」


黒い物体は、人でした。

黒い服を着た髪の長い女が、ひざまずいて、爪を切っていたのです。

次の瞬間、パーン!という強烈な耳鳴がして、金縛りは解けました。

「負けた。怖かった。」

その後は、グッスリ寝ました。


後日、その話を某共演者に語った所、彼の部屋にも同じ様なのがきたそうです。


後日談。

一年後に、そのウィークリーの近くのラブホテルで女性が殺されたそうです。

その近辺でそういう事件はよくあるそうです。 





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