あっちの世界ゾ〜ン第三十夜「中古車」

ボスケさん談


こんばんは、ボスケです。

皆さん、車って乗ってます?

まぁ、今の時代ですから、大都会でもなければ、家に1台以上はあると思いますが。

私は、今まで4台の車に乗り継いだんですが、ネが貧乏性なもんですから、

全部中古車なんですねぇ。で、今回は、そんな中古車の話なんです。

今回も「恐い実話」ですよ。


私の仕事関係の友人で、実際霊体験をしている人なんですけど、

例の関門海峡の話の、山口県の女性の方なんですけどね。

彼女、小さい時から、霊を見てたって訳じゃあないらしいんですよ。

ちょうど、中学生くらいの頃から、へんなものを見るようになったらしいんですけど、

その、見始めた頃の話なんですねぇ。

中学生で、部活動もしてなかったもんですから、学校が終わって、家に帰りますよねぇ。

で、その日は友達と遊ぶ約束ってのも特になかったもんですから、

家でぼーっと、テレビ見てたんですよ。

後ろで、お母さんが、夕ご飯の支度やなんかを始めてるんですねぇ。

彼女は、お腹が空いてきてるもんですから、

「今日の夕飯はなぁに?」

なんて聞いたりしてね。

彼女の家は、犬を飼ってたんですよ。

で、夕ご飯の支度をしてるお母さんに、

「お前、ぼーっとテレビなんか見てないで、○○ちゃんの散歩にでもいってきなさい。」

なんて言われたんですね。

結構長く飼っている犬ですから、

散歩も飽きてきてて、少し面倒になってきてるもんですから、

「えーっ、やだぁ」

なんてね、中学生ですから、反抗期ってぇのもあったのかもしれませんけど。

でも彼女、その日はなんか嫌な感じがしたらしいんです。

でも結局お母さんに怒られる前に、散歩に行く事にしたんですね。

彼女の家は、正面から出るとそこは道路なんですが、

裏がアパートで、彼女の家と、そのアパートの間に、

アパートの人の為の、駐車場があるんですよ。

犬の散歩ですから、あんまり車の通る所は通りたくないですし、

裏口からその駐車場を抜けていくんですね。

それが、散歩をする時のいつものコースになっていたんですね。

で、しぶしぶ散歩を始めたんですが、その瞬間、彼女気配を感じたっていうんですよ。

人間の視界っていうのは、結構広いんだ。

真横くらいまでは実は見えてるんですよね。

意識が集中してないだけで。

よく視線を感じて、そっち見ると人がこっちを見てたなんて事あると思いますけど、

それ、視線を感じたんじゃなくて、実は視界に入ってたって事がほとんどなんですよね。

彼女の場合も、視界の片隅に、何かが見えていたんですね。

で、彼女そっちに意識を集中して、見たんだ。

平日の夕方ですから、駐車場には、仕事が早く終わった人達の車が

何台か置いてあるだけだったんですけど、その中の1台。

白い車の運転席に、誰か乗ってたんですよ。

その誰かっていうのは、人間の形をしてるんですけど、

夕方で薄暗いのに、はっきり見えるくらい、やけに白っぽいんですよ。

運転席から、正面を向いて、白目の無い真っ黒い目を見開いて、

口も「あぁん」って開いてる、男だったんですよ。

白っぽくて、白目がないっていう時点で、もうこれは人間じゃないですよね。

で、彼女、びっくりして、犬を抱きかかえて、家に走って戻って、

「お母さん、お母さん、あの車に誰かいる!」

って訴えるんですけど、お母さんも、

「何言ってるの?」

なんて相手にしてくれないんですね。

「お母さん、あの車に幽霊が乗ってるんだよ!」

って真剣に訴えるもんですから、ようやくお母さんも、

「今日は散歩はいいから。でも、幽霊の事は誰にも言うんじゃありませんよ。」

って言ったそうですよ。

その後彼女は、散歩のコースも変えて、駐車場には近づかなかったんですけど、

ある日曜日に、彼女の家に親戚のおばさんが訪ねてくる事になったんですね。

で、彼女も学校が休みで家にいますよね。

そこに突然、おばさんが、血相変えて走り込んできたんだ。

家の中にですよ。チャイムも鳴らさないで。

で、彼女のお母さんにむかって、

「ちょっとあんた、そこの白い車に、なんかえらいもんがのってるよ!」

って言ったんですよ。

彼女せっかく忘れかけてるのに、その時本当に恐くなったって言ってましたよ。

あとで、お母さんに聞いたら、その白い車っていうのは、

最近になってアパートの方が買い換えたばっかりの中古車だったそうですよ。





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