あっちの世界ゾ〜ン第五十七夜「お盆」

億の細道の住人さん談


金曜日の夜10時頃、台所に置いた時計の針の音がやたら大きいなあと

思っていると、ッピ、・・・ッピ、・・・ッピ、ピピピピピ・・・とアラームの音。

あわてて止めに行く。

が、その時アラームのスイッチはOFFのまま。

スイッチがOFFでも鳴り続ける時計・・・その時思ったのは、

(どうやって止めたらいいんだ?)ということ。

とりあえず、ばしばしと2、3回叩くとアラームは止まった。

が、またすぐにアラームの音が。

「こら、ええ加減にせんと電池抜いてまうぞ。」

また、ばしばし叩くと今度は完全な沈黙。

(国道を走るトラックの電磁波の影響か?)

その日が8月13日で、あれは亡くなったとうちゃんが「来たよ。」って

挨拶したんだと気が付いたのは、翌日の朝だった。

実家は今、建て直しの真っ最中でマンションに仮住まいのため、

今年はお迎え火をたかなかったから。

とうちゃん、薄情な娘でごめんね。




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