あっちの世界ゾ〜ン第八十壱夜「思い出の場所」

イヴイヴさん談


今朝、百物語オフから帰ってきてシャワーを浴びて惰眠を貪っていると、

まもなく妹が帰ってきました。

さすが姉妹です。揃って朝帰り。(笑)

いつものように私の部屋に入ってきてくつろぎはじめたのですが、

なんとなく元気がありません。

でも、まだ眠かったので、私はベッドに横になったままでした。

「あのさー、昨日さー、」妹はポツリポツリと話し始めました。

妹は、彼氏と千葉パルコのキティちゃんグッズを買い込みに行った後、

(※妹はキティラーであった。)

「どこかドライブしようか」

と、いうことになり、とりあえず横浜方面へそのまま車で移動しました。

最初、中華街の方へ行き、山下公園へ向かい、車でふらふらしていました。

「ベイブリッジの方へ行こう」と彼氏が言いだし、

気がつくと、ベイブリッジの真下につきました。

そこから車を降りて夜景を見ていると、妹は、

『アレ?ここ前に来たことがある』と思い出しました。


4年前につきあっていた彼のことを。(これから元彼をH君とします)


H君は、とてもやさしい性格のいい人でした。

でも、妹は、「顔はカッコイイんだけど、洋服の趣味がね。」と言って、

4カ月で別れてしまったのですが。(^^;ヒドイぜ。)

しばらく今の彼氏とラブラブな雰囲気になりながらも、

妹はH君との思い出を懐かしんでいました。(オイオイ)

そのうち「帰ろっか。」とまた車に乗り込みましたが、

方向音痴な今の彼氏は、道に迷ってしまいました。

でも、引き返そうとはせず、そのままガンガン先に進んで行きました。

するとある駅前を通り過ぎて、彼氏が

「なんだよここの駅。聞いたこともねぇ。」といいました。

妹は相槌を打ちながらも、

『ここは一度H君に連れてきてもらった所だ』と思い出していました。

その後そのまま車を走らせると川があり、

『アレ?ここも一度H君と来たことがある!』

また彼氏が車を走らせると、今度は公園に出ました。

『ここの公園もH君と一度遊んだ所だ。』

そのまま行ったら、ロイヤルホストがあり、

『ここもH君と食事した所だ。』と思いました。

一個一個の場所は、全て離れています。

当時、H君は、車を持っていなかったので、移動は全て電車だったのですが。

でも、今の彼氏は、なんだか変なルートの選び方をしていました。

・・・まるで何かに導かれるように。

一度ずつしか行ったことのないH君との思い出の場所を、道に迷いながら

一辺に回ってしまって、なんだか胸騒ぎがしました。

一カ所二カ所ならともかく。

「ここどこだろう?」と問う彼氏に、「全部H君と来た所よ」なんて

言えるワケもなく・・・。(そりゃそうだろう)

なんとなく、H君が車に乗っている気がして、恐かったそうです。


何事もなく、彼の家に着きました。

彼が、「じゃらじゃらして邪魔だなぁ。」と、

沢山のカギについてたキーホルダーを一つ外しました。

目の前に置かれたのは、H君にあげたものと同じキーホルダー。

妹は顔がひきつり、こわばりました。

海外旅行のお土産のキーホルダーを、同じ物をいくつか買っていたのですが、

今の彼とつきあいはじめた時、「余ってたから。」と、そのウチの一つを

今の彼氏にも渡していたのです。(^^;)


すでに妹はH君のことで頭が一杯で、

「・・・偶然かなぁ?何かあったのかなぁ?」

泣きながら言うので、

「でも、確かめようもないし、確かめてもどうしようも出来ないことでしょ。」

と私は言いました。

もうH君は、引っ越した後で、どこに行ったのかわからないのですから。


元気でいてくれるといいのですが。。。ね。

今の彼氏の嫌がらせなのだろうか?

(いや、いくらなんでもそれはあり得ないことだ。)

単なる思い過ごしだといいんだけれどね。

虫の知らせでありませんように。




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