侵あっちの世界ゾ〜ン・第八十弐夜「『あっち』の『こっち』な話」
RENさん談
| これは私が受験勉強をしていた大昔の事です。(今日は正直) 夜中、自分の部屋でお勉強をしていると、家の直ぐ外から男の人が歌うのが聞こえるのです。 歌は忘れもしない、えーちゃんの「時間よ止まれ」。 毎晩必ず2番まで歌っていくのです。それも熱唱で。 お隣がマンションなので、 まぁ、狂った男が酔っぱらっているんだろうというぐらいにしか考えていませんでした。 その晩も「時間よ止まれ」が熱唱され始めました。 1、2時といった時間ですから周りは静まり返っていました。 そのせいか、エコーまで効いて..。 どうしても解けない問題に調度苦しんでいる最中だった私は、 その歌声についにキレました。 ベッドに乗り、あてつけがましく思いっきり窓を開けました。 そのベッドの横の窓からは家の前の路地が見えるのですが(私の部屋は2階です)、 奴はお向かいの外灯の下辺りで、私の部屋を見上げて歌っていました。 視力の弱い私には彼の顔までは見えませんでしたが、 黒い帽子を被っている事は分かりました。 私が窓を開けた事に満足したのか、 2番を歌い終わるとクスクス笑いながら帰って行きました。 「なんてフテブテしい!!」 激怒した私は、翌晩奴の顔を確認してやろうと 奴が来る前からベッドの窓を少し開けておきました。 (昼間会ったら文句の一つも言えるようにと。) そして始まった「時間よ止まれ」。眼鏡をかけて、ベッドの上を這って行きました。 奴はやはり黒い帽子を被り、外灯の下でこちらを見上げて熱唱していました。 しかし、奴は肌色の仮面を被っていました。 「か、顔が分からない...」 絶望した私はテスト勉強をしていた弟の部屋へ行き、 前に説明済みだったその「時間よ止まれ」野郎を弟に見せてやろうと私の部屋に呼びました。 私の部屋に入った弟はわくわく状態で、 「おー、おー、熱唱してるなぁ」と窓の下を覗き込みました。 その途端、歌が途絶え、弟も「あれ?いない??」と...。 R:「惜しいっ!しかし、変態だよ、あれは。」 弟:「うぉー、残念!でも、結構歌うまいじゃない。」 R:「今晩なんてさ、肌色の仮面してたんだよぉー。」 弟:「..........」 R:「また明日の晩、呼んでやるよ。」 弟:「Renさ、それって...顔が無いんじゃねーの?」 鳥肌が立ち、恐怖で弟をぶっ叩きました。 しかしその晩以来、弟に歌を中断されたせいか、奴は二度と来なくなったのでした。 |
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