あっちの世界ゾ〜ン第八十参夜「私的には恐くないんですが。」

酢橘さん談


これは、私が小学校低学年の頃、習字教室に通っていた時のことです。

教室までの道のりに中学校と商店街にはさまれた道がありました。

商店街といっても裏手にあたるその道は街灯が一つもなく、

ほんの500m程ですが、暗い道路でした。

ある時、遅くまで(といっても8時頃ですが)教室にいた私は、

いつもの様にその道を通っていました。

ちょうど中間あたりまできたとき、中学校の塀の上に人影を見つけました。

その中学校は坂になっている所に建てられていて、商店街側は坂下にあたりました。

そのため、塀は3m程の高さがあったと思います。

その人影は、内側に立ち、塀に肘をかけ下を覗き込むようにしていました。

私は”何をしてるんだろう?”と思い、近付いていきました。

真下に立ち見上げた途端、顔だけがグワッと私めがけて伸びてきたんです。

私はとっさに持っていた習字カバンでその顔を殴りつけました。

するとそれは2〜3m先にポーンと転がり、

「ケケケケケケケッ」

と笑いだしたんです。

普通ならここで恐怖を感じるんでしょうが、

なぜか私はムカッ腹が立ち、その顔を力一杯踏み付けてしまいました。

あとのことは解りません。家に帰っちゃったので。

この話を聞いた友人には、

「あんたが恐い・・・」

といわれてしまいました(笑)


ちなみに、踏んだ感触、ありました。




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