あっちの世界ゾ〜ン第弐夜「そんな事もあったわね」

SARAさん談


学生時代に彼から聞いた話です。

彼をN、その友人をH、O、Yとしておきます。

ある夜、一人暮らしをしているNの所に、HとOが遊びに来ていました。

話が盛り上がっていたのですが、Hが眠くなってきたと言って横になりました。

しばらくするとHの寝息が聞こえてきたのでNとOは小声で話をしていました。

1時間も経った頃でしょうか。突然Hが

「Yが来るよ」

と言うのです。

Nも、Oも「はっ?」となりましたがすやすや眠るHを見て、「何だ、寝言か」と思いました。

しかしHは続けて

「Yが来るよ。お墓の所の坂を歩いてるよ」

とまた言うのです。

「H?寝てんの?」

と声をかけると、やはり寝息をたててぐっすり眠っているようです。

確かにNのアパートに来るにはお墓の横を通るのですが・・・

Hは更に

「今、角を曲がったよ、もうすぐ来るよ」

と言います。

気味の悪くなったNとOはHを起こそうとしましたが全く起きる気配がありません。

数分後、ドアが開いてYが入ってきました。

NとOが驚いたのは言うまでもありません。

Hはその後、何も言わずに眠っていました。


後日、またHは寝ながら

(どうも、N宅へ行くと、彼は眠ってしまうらしい)

「Nさん、俺、バイクで事故っちゃいましたよぉ〜」

これは寝言にしか聞こえない感じで、言いました。

しかしその翌日、

「Nさん、今、そこでこけちゃいましたぁ」

とHは傷だらけの顔で、バイト先に現れました。


彼は幽体離脱だけでなく、タイムトラベルでさえもできたということなんでしょうか?





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