あっちの世界ゾ〜ン第四十夜「あっちの話・・・かな?」

滝川マコトさん談


こんばんは、はじめまして。僕は滝川マコトというものです。

では、僕の体験談を聞いてください。

それは僕がまだ、ある専門学校に通っていた頃の話です。

その専門学校は僕のアパートから電車で一時間以上かかるところにありました。

ですから普段は、学校には原付バイクで通っていました。

ところが、あの日は僕の住んでいる地域に台風がかなり接近したため、

ヒドイ雨と風で、とても原付で学校に行くことはできません。

しかたがないので、バスで駅前まで出て電車で学校に行くことになりました。


授業も終わり、幸いその頃には天気もだいぶ回復していました。

しかし、今日は電車で学校に来たため、

電車の待ち時間などもあって、スグには帰れません。

すると友人の一人がゲーセンで時間をつぶして帰ろう、と僕を誘ってきました。

僕にも急いで帰る用事もありませんでしたから、

その友人と二人で近くのゲーセンへと行くことになりました。

ゲーセンに着くと、友人は当時

彼が夢中になっていた「鉄拳」をやり始めてしまいました。

僕はその友人の隣に座ると友人のプレイを見ていました。

その友人はその鉄拳というゲームが大変上手で、

近辺で開かれるゲーム大会などで優勝した事もあったほどです。

僕は、友人が「ここでこうきたら、こう返す」などと言う言葉に

うなずきながら、彼のプレイを見ていました。

その時です。

突然、背中に何かが強く当たったと思うと、激痛が全身に広がりました。

僕には何が起こったか理解出来ません。

すると友人が急に「なにすんだ!」と怒声を上げて、

僕の後ろで誰かと喧嘩を始めました。

この時、僕はまだ自分に何が起こったか気づかず、

友人を止めようと立ち上がりました。

そこで、やっと気がついたのです。

着ていたティーシャツがべっとりと体に引っ付きました。

ボタボタと血が脇から腕を伝って床に落ちました。

そして、背中に手を回してみると、右肩の辺りに「何か」が刺さっていました。

そうです。僕は刺されてしまったんです。

その後は、ご想像のとうり大変な騒ぎになりました。

犯人は友人とそばにいた人達に捕まえられ、

僕はゲーセンの事務所で簡単な治療を受けた後、病院に運ばれてしまいました。

幸い、何針か縫うことにはなりましたが、たいした事にはなりませんでした。

と、これで終わっては「こっちの世界」になってしまうんですが、話はまだ続きます。

後日、その犯人くんの親御さんから詳しく話を聞いたのですが、彼、


「幽霊に命令された!あいつ(たぶん僕の事)を殺さなきゃ!!」


などと言って、警察でも暴れていたそうです。

つまり、「あっちの世界」へ行ってしまっていたそうです。

あれから数年がたちましたが、

あの親御さんの為にも彼には「こっち」に戻ってきてほしいとおもいます。

これが僕が体験した「こっちであっちの話」です。

もちろん、僕が体験した「あっちの話」もたくさんあるので

また、書かせてもらいます。





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