あっちの世界ゾ〜ン第九十弐夜「続友達の家はお化け屋敷(何かが居るの巻)」

獣人さん談


Kの家が店舗兼住宅で、2階に我々が「雀荘」と呼ぶ広い部屋があり、

そこで怪異現象が起きるという話は前々回にいたしました。

彼はその部屋に置いてある、ドラムやギターを弾くのが日課でした。

その日も夕飯後、レコードに合わせて一人ドラムを叩いていると・・、

音の切れ間に何か小さな音が聞こえます。

気になって耳を澄ますと何も聞こえず、

また音を出すと聞こえるということが何回か続きました。

そのうち音がはっきりしてきました。それは「ふふふ・・・。」という

女性の笑い声だったのです。

とっさに、声の方を振り向くとそこには住宅へ続くドアがあり(最初の

投稿でひとりでに閉まったドア)、ドアの上部のすりガラスに人影が映

っているのが見えました。それが奥へすっと移動します。

彼は恐怖も忘れて走りだしその影を追いかけました。

ドアを開くと、白っぽいひらひらした物が、廊下の突き当たりから

右に直角に曲がり階段方向へ消えるのが見えました。

なおもそれを追い、階段を下り居間に入った時点で、

彼は現在家人が皆風呂へ行っているのを思い出しました・・・。

結局正体が分からないまま、そのことも忘れかけたある日・・・。

その日も彼は、ドラムを叩くため「雀荘」へ向かいました。

その部屋に入るときはいつもまず例のドアを開けて部屋に入り、

すぐ右手にある「麻雀荘」時代の名残りの「カウンター」の上の

蛍光灯を点け、部屋の中央部にあるスイッチで全体の蛍光灯を点ける、

という手順だったのですが、何故かその日に限って、いつもは一度

ひもを引けば点灯する「カウンター」の上の蛍光灯がなかなか点きません。

何度かカチカチやっているうちやっとパッパッパッと点滅し、

ややしばらくたってやっと点灯しました。

その瞬間、足下に白っぽい物が見えます。

驚いて視線を向けるとそこには・・・。

浴衣を着た髪の長い女性が向こう向きにしゃがんでいます。

その女性がゆっくりと振り返りました・・・。

彼は走りました、無我夢中で・・・。

自分の部屋に逃げ込み我に返ると額を流れ落ちるものがあります。

「血」でした。

逃げるときに、ドアの手前の一段低い部分に頭をぶつけていたのでした。

必死だったので、痛みを感じなかったそうです。

彼は、彼女の顔と浴衣の柄が忘れられないそうですが、

どんな顔をしていたのかは未だに話してくれません。

長くなりました。ではまた。





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