こっちの世界ゾ〜ン第三十八夜「飼育室」

奥村紀子(真名)さん


私がいる研究室は、昆虫を扱っているとこです。

色々な昆虫がいます。

昆虫マニアもいます。


私の研究は、結構こつこつとやらなければならないので、めっちゃくちゃ時間がかかります。

その日も夜遅くまで残っていました。

実験室から研究室に戻ると、すでに誰もいません。

時間は10時。

「いーやー、こんなの惨めすぎるー!」

なんて叫びながら、私は昆虫にトドメをさす薬品をとりに飼育室に行きました。

飼育室にはいろいろな昆虫がいます。

もちろん害虫がほとんどです。

10時になると自動的に電気が切れてしまうので、飼育室の中は真っ暗。

さて、目当ての薬品を手にして、さあ戻ろう、とした時、ばたん。

その途端、部屋は暗闇に。

いやじゃー、こんな虫のいる部屋にいるのはー!

めちゃくちゃ混乱していたので、無我夢中で前進しました。

すると、棚にぶちあたりました。

そこから、方向がわからなくなり、壁にはぶつかるは瓶は蹴るは、

椅子に体当たりするは、とても大変でした。

しばらくして、やっと落ち着いて、立ち止まりました。

よくよく考えれば、目が暗闇に慣れてから動けばよかった。

そうして、目を慣らしてから部屋を脱出しました。

それからは、夜遅くなった時は、飼育室に近づかないようになりました。

めでたしめでたし。



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