こっちの世界ゾ〜ン第四十六夜「Jの森」

命知らず(こっち研究室長)さん


私の大学には「Jの森」と呼ばれるところがあります。

某宗教団体が新入生の引き抜きを毎年そこで行うので、この名称がついたのです。

一年生の頃私がお酒によってそこで休憩していると・・・

すすすっ、と近寄ってくる怪しい影。

「あなたの幸せを三分間祈らせてください」

いつもは断固断りますが、その時はオーケーしました。

すると続いて

「あなたの血は汚れています」

と言い出して、勧誘モードに突入。

私がいかに罪深いか、尊氏がいかに素晴らしいか、

血を綺麗にするためのトレーニング内容やなんかを延々話し始めまして・・・

「祈るだけじゃなかったんですか?」

「あなたのためです」

私、切れました。

人の血が汚いって、てめぇーの血は綺麗なのかあ?ひとの罪を指摘できるほど聖人なのかあ?

と、酔いに任せて論破して行くと(いちゃもんともいう)、新たにすすすっ、と近寄る影一つ。

神様の御使いが二人に増えました。
 

さらに三十分ほどいちゃもんの応酬をしていると、向こうからも影が・・・

やばいっ、囲まれる!?

恐怖を感じて私、逃げました。

拉致されてはたまりませんから。

そして数日後。

私は違う場所でまた勧誘に会いました。

信号が変わるのを待ちながら断っていると・・・

「あなた、一度お会いしてませんか?」

こういうのを運命の出会いというのでしょうか。

彼は先日私といちゃもんを言い会った人でした。

「いいえ。初めてです」

私は運命の神の手を振り払いました。

・・・基本的に、天使や宇宙人とは知り合いにならないほうがいいですね。




     戻る