こっちの世界ゾ〜ン・第四十七夜「写真撮影」
奥村紀子(真名)さん談
昔っから私は写真を撮る方で、撮られる方にまわるのが珍しいんですよ。 そのせいか、私の写真って、あんましないんですよ。 本当に。 それに、写真にうるさいから、他人が撮ると気にくわない。 本当にイヤな奴ですね。 自分でもそう思います。 従姉妹の結婚式のことだった。 従姉妹は、とっても綺麗だった。 そして、結婚式という会場はとてもおもしろかった。 だから、私は怪我が治り立てにかかわらず、気ままに写真を撮った。 そして、全てが終わり、現像に出した時のことだった。 母は、珍しく私を写そうと躍起だった。 さぞや写しただろう。 のわりにはフィルムが少ないぞ。 母はとても自信ありげだった。 この自信はどこにくるのだろう。 そして、次の日の午後。 写真ができあがって、さあ、なにが写っているだろう、と見てみた。 最初は私が写っていた。 しかし、一枚だけ。 (おっかしいな、撮ったといってたのに) そして、それに続く写真は、全て私がとったものだった。 母は、写真を見て、 「どうしてあんたが写ってないんだろうね」 と嘆いた。 当たり前だ。 あんたが怖がって、私にカメラを渡していたんだから、写っていたらおかしいっつうの。 こうして、またもや私の写真は撮られなくなっていくのであった。 おしまい |
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