こっちの世界ゾ〜ン第六夜「そんなこと言われたって・・・。」

ろびんさん談


つい10時間ほど前の出来事です。

本屋で何冊かの本を購入し、駐車場へ向かおうとしていました。

いちど本屋を出たところで買い忘れた文庫本があることに気が付き、

私は再び店の中にはいったのです。

お目当ての文庫本はすぐにみつかりましたが、

レジの順番を待つ人がかなりいたので仕方なく新刊コーナーの本をパラパラめくっていました。

郊外型の大きな駐車場のある本屋で、家族連れのお客さんが多い店ということもあって、

児童文学からビジネス書や美術の専門書まで一通り揃っているお店です。

突然、私の左肩を叩く人がいます。

たまに知人と会うこともあるので、友人の一人だろうとおもって振り返りました。

立っていたのは見ず知らずの、50歳くらいの女性です。

「あなた、仲間でしょ。」

「は・・・?。」

「あなた、山本の仲間でしょ。」

確かに、友人・知人のなかに山本姓の人間はいます。

「どの山本でしょうか・・・?。」

「・・・知ってるだろ!!。」

とつぜん女性の口調が変わりました。

「・・・?。」

側にいた顔馴染みの店員が、不安そうにこちらを見ています。

「あんた、山本の仲間だろ!!。」

「・・・知りませんよ。」

「じゃあ、なんで山本の本を買うんだよ!!。」

その瞬間、全てを悟りました。

最初に買った何冊かの本の中に、と学会会長の山本弘の本があったのです。

その題名は『トンデモノストラダムス本の世界』。

「あんた、山本の本をかったじゃないか!!。」

おばさんの声はかなり大きくなり、レジの順番をまっていた人々の視線が集中します。

店員が店長を呼ぶために事務所の方へ走って行きました。

「・・・?」

私はまったくわからない振りをしていました。

内心は、ワクワクしてたんですけど・・・。

もしかして、このおばさんはゼビン星人の仲間かもしれないと。。。

「あんた、認めなよ。山本の仲間じゃないか!!。」

店長がやってきました。

「お客様、ちょっと・・・。」

おばさんに声をかけました。

「この女、山本の仲間なんだよ。こいつらが日本を駄目にするんだよ!!。」

いきなりおばさんは、店長にすがりつくようにして叫びました。

「・・・お客様、警察に連絡してもよろしいですね。」

普通は商売をしている所っていうのは警察を呼ぶことを嫌うのでしょうが、

この書店は以前にヤンキーの客同士のケンカで大騒ぎになった経験があるので、

取り返しのつかないことになる前に警察に連絡をする方が得だと思っているようです。

「警察!?。」

「はい。」

次の瞬間、おばさんが絶叫したのです。

「お前ら、みんなグルになってるんだー!!。あたしはだまされない!!。

まっとうな地球人はどれだけ残っているー!!。」


おばさんは店長を突き飛ばすと、店の外に走り去ってしまいました。


残念ながら、私や店長が何星人なのかは判明しないままですが

これから本を買う時は、ちょっとだけ注意しようと思ったのでした。





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