こっちの世界ゾ〜ン第九十四夜「怒濤の恋愛」

三日月姫さん談


はぢめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。

これからもヨロシク。さて、本題・・・。


知り合いのK子はちょっと暗くて、しかもめちゃめちゃじこちゅーな女だ。

例えば何年かぶり再会した友達同士が「元気だったぁ!?」と、

喜び合っているとゆーのに、「みんな悩みがなくていいわね。私なんか毎日がとってもツライのに。

今日だって本当は家にいたかったのに、

アンタ達がどうしても会いたいっていうから無理して来てあげたの。

ああ、そんな私ってなんて友達想いなのかしら」と思っているのだ。

(これのどこが友達想いなのだろう)

当然「再会後の飲み会」でも1人暗い顔をして、平気でため息をついている。

・・・イヤなら来なくても良いし、あまり誘いたくもないのだが

声を掛けなと「どーせ私なんて」と言うので、とてもやっかいなのだ。


今から3年ほど前。

中学時代の同級生であるT子のアパートへ、アポ無しでK子がやって来た。

それも真夜中近く。(この話、実はT子から仕入れた情報なのである)

「帰りの新幹線がもう無いから泊めて」

それはそれは暗く、うちひしがれた様子だったという。

どうしたのかと聞いても「絶対に言えない!!」と繰り返すばかり。

こんな時間に突然押しかけてきたクセに、なんて態度だ!!と、

ムカついたそーだが何を言ってもムダだし、明日も早いし寝ることにした。


・・・・暗闇の中で時間だけが過ぎてゆく。―と、突然!!

K子「実は今日、とっても悲しいお別れをしてきたのっっ!!」

うわあああぁぁっっっ!! K子は激しく泣き出した。

T子「??? そぉ・・・。何? 彼氏とでも別れてきたん?」

K子「頭がおかしいって思わないでくれるっっ!? アタシ正常よ!!」

T子「う・うん」(うなづく他なかったという。そりゃそーだ)


はたしてK子が語った「悲しいお別れ」とは・・・。(後半へ続く〜!!)



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K子に男がいたというのは寝耳に水だとT子は思ったが、とにもかくにも話を聞くことにした。


T子「彼って・・・アタシも知ってる人?」

K子「・・・うん・・・」


そこでT子は、中学時代の同級生やら先輩やらの名前を次々に挙げていった。

が、K子は首を横にふるばかり。

T子「ほんっとにアタシも知ってる人? もう思いつかないよ」

K子「うん。誰でも知ってる人・・・」


誰でも知っている人・・・? なんだそりゃ。

あ? ちょっと待った・・!!ってコトはひょっとして・・・


T子「芸能人っっ!!??」

K子「そうなの」


ウソ〜〜〜〜〜〜〜!?と、T子は思った。T子から聞いた私もそう思った。


三日「なにソレ!? 誰 誰 誰なの!?」

T子「当ててみてよ」

三日「・・・あっ! お笑いタレントだ! 違う? じゃ、まだ売れてないタレントでしょっっ!?」


我ながら酷いコト言っとる。が、人間とはこんなものだ。


T子「それがさあ、売れてる人でしかもミュージシャンなんだよ。

CMにも出てるし。ヒントは・・・サル顔かな」

三日「ええっっ!? サル・・・猿岩石!?」

T子「馬鹿! お笑いじゃないって。あ、猿ってゆーよりゴリラかも」

三日「まさか、オダユージ(漢字忘れた)!?」

T子「違うー。もっとよく考えてよ。もー最大ヒントはソーセージ!!」


ミュージシャン・ゴリラ(サル)・CM・ソーセージ・・・。


げっっ!! もしや「あのお方」・・・!!?? まーさーかー!!??


みんなー、分かったかな〜?


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「怒濤の恋愛」告白をしたK子は泣きじゃくっている。


言い忘れたが私たち3人は(一応)同郷だが、

T子は東横線沿線、私は人身事故多発の中央線沿線に住んでいる。

K子は新幹線で2〜3時間の某地方都市で実家暮らしである。

そういう“チャンス”が全く無いとは言わないが

(彼女の性格等も考えて)、やはり数値は限りなくゼロに近いであろう。

・・・それは本当なのか、本当ならどういった経緯なのか。

T子は問いただした。


K子は昔から「あの方」のファンだったという。

更にさかのぼること2〜3年前の運命の日(とK子は呼ぶ)。

あの方は全国ツアーで彼女の住む街にやって来た。

当然K子はコンサートに出かけた。が、

会場で一緒に行った友達と些細なことでケンカをしてしまった。

開演し、あの方が登場しても彼女の気持ちは晴れない。

周りがどんなに熱狂し、興奮のるつぼと化してもおかまいなし。

曲も歌もトークも一切、耳に入らず、うつむいて先程のケンカノ内容を反芻していた。

コンサートの中盤頃までそうしていたのだという。(なんのために行ったんだか・・・)

ふと、視線を感じて彼女は顔をあげた。

舞台では、あの方がバラードを歌っている。

そして・・・「どうしたの? 大丈夫?」と言いたげに、ジッと、自分を見つめていた・・・!!!


「そう。私のことをとっても心配そうに見てたんだ。私、彼に悪いと思って

あんまり気分じゃなかったんだけど、(すんごい失礼な考え方だと私は思うが、

皆さんはどーでしょ?)それからはみんなと一緒に楽しくノッりしたの。

彼は結局最後までずっと私のことを見ていてくれたのよ」


・・・絶対もーそー入ってる。でも取り敢えずおしまいまで聞いてみよう。(T子・心の問答)


T子「それで・・・そのあとどーしたの?」

K子「彼に『あのときの女です』って手紙を書いたの。

『心配してくれてありがとう』って。そしたら・・・」

手紙を出して数日後。K子が会社から帰ってくると誰かが家の前にいる。

誰だろう、と思ったとき、その人物がことらを振り向いた・・・・・・・・・


K子「それからおつきあいするようになったの。でね、私は彼と結婚したいと思ってるの。

Tちゃんと三日月ちゃんに式場の受け付けをやって欲しいなって。(マジですかぁ〜!?)

でも彼は結婚に縛られるのは嫌だって言うの。

私もニューヨークで暮らしてもいいなって思ってたのに・・・。

今日は彼、ニューヨークに行く日で、、

成田まで見送りに行って、そこでお別れしてきたの〜!!でも好きなの〜〜〜っっ!!!


号泣 号泣 号泣 号泣 ・・・・


K子「三日月ちゃんには自分の口から言うからTちゃんはまだ黙っててね」

(が、一向に言う気配もないので、今回バラしたそおだ)


話しのあと、T子は「2人で撮った写真とかないのか」と、証拠の提示を迫ったが、

あさり「そんなモノない」とか言われ、ならば!と事務所に問い合わせの手紙を

書いてみたそーだが、事務所に握り潰されたのか、はたまた「たわごと」として

処理されてしまったのか、返事はこなかったそーな。


T子はこれ以後、わたしはもっと以前より音信普通になってしまったので、

彼女が今どうしているのか残念ながら、知らにゃいのだぁ〜。


(「アンタこそ電話してみなよ」と互いに押しつけあっている次第です。)





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