あっちの世界ゾ〜ン第七十壱夜「ある夏の夜のお話」

貴公子Rさん談


貴公子Rです。

最近は全然変な物を見ることはないのですが、

やっぱり年をとると見えなくなってくるのかもしれません。

僕が体験したお話をするのも、これで最後になるかも。

今まであった怖い体験のうち、一番怖かったのがこの話です。

ちょっとこのお話は長くなります。



ある夏の夜のことです。

僕は、例によって例のごとく、あの幽霊屋敷の友達の所に泊まりに行ったんです。

その時のメンバーは、全部で僕合わせて5人。

お昼のうちから集まっていました。

そこでですが。

夏の夜といったらやっぱり花火だろうということでお昼のうちから花火を買ってきました。

それぞれに花火を買い、夜を待ちながら花火を眺めてました。

いや・・・・・ロケット花火を十本ぐらいまとめるというお茶目なことはしてたんですが。

そして待望の夜になり、ご飯も食べた僕たち五人。

近くの学校に乗り込もうということにして、9時過ぎまで待っていました。

学校で、保護者達が集まってバレーをやっていたからです。

そして、九時過ぎ。

学校に乗り込むと、電気は消えていました。

そこでラッキーとか思いながら、花火をやったのですが。

一人帰ってなかったようで、懐中電灯をこちらに向けてきました。

やばいと思いながら、必死で走って逃げました。

これじゃぁ学校でできないかも。

なんて相談をしていると、一人がいいました。

近くに神社があるからそこ行こうか?

僕たちは、自転車に乗りそこに向かいました。

何でもそこの神社は、五寸くぎが打たれた木が立っているそうで。

僕も実際に見ましたが、なかなか迫力があります。

見たのは、次の日の、帰る途中です。

そこで、神社の前に来たのですが、なーんかおかしいんですよね。

案の定、霊感の強い一人が、三人はいるなってぼそっと。

よくよく見ると、五人くらいいたんだと思います。

僕たちは、猛ダッシュで逃げました。

けど、こんなのは序の口に過ぎなかったようです。

その後、近くの川に行き、周りを見ましたが、

草がぼうぼうに生えているのであきらめ、少し遠くにある学校へと行こうということに。

そこで向かったのですが。

川沿いを自転車で走っていると、霊感の強い人が、

さっきまでは一番後ろにいたのに、いきなり僕たちの真ん中に入ってきました。

その時点で、一番後ろは、僕と恐がりの人でした。

何だろうと思いながら、その人と談笑していましたが、すぐにわけが分かりました。

後ろにいたんです。

しかも追いかけている。

そう、例の人は、僕たちを犠牲にして、一人で真ん中へと逃げ込んだんです。

前からも何かあるらしく、真ん中に逃げこんだらしいのです。

なんて薄情なやつだとは思いましたが、その時は逃げるので必死。

死にものぐるいで自転車をこぎました。

背中を捕まれる感覚と共に、真夏の夜だというのに背中に悪寒が走ったのです。

風邪ではありません。

だんだんと全身に鳥肌がたち、最後は死にものぐるいで、全員とも走っていました。

みんな泣き顔でした。

前からも、蜘蛛の巣なんてありもしないのに

糸がかかってくるような感覚に襲われ、後ろからは変な物。

直感で、女だなと思いました。

後で聞いたところホントに女の人だったそうですが。

一分くらいは走ったところで変な感覚はなくなり、

みんなもそれがわかったようでゆっくりと走り始めました。

後ろを振り返ると、変な物は見えなかったのですが、

さっき通っていたところが遠くに見えました。

けど、おかしいのです。

一分くらいは全力で走ったのに、あれだけしか進んでいなかったのか。

そう、百メートルくらいしか離れていなかったのです。

後から思い返すと、本当に恐ろしい出来事でした。

そのころは逃げ出せたという安堵感で、不思議には思わなかったんです。

結局花火をやることもなく、帰りました。

夏の夜、全力で走ったのにも関わらず、

汗なんて全然かいていなかったのを覚えています。

帰り道は、当然川沿いの道は通りませんでした。

その夜も当然部屋になんかいたのでしょうが、

案だけ嫌なやつにあっていたので、気にせずに麻雀をやりました。


後日聞いた話ですが、あの川沿いの道・・・・・というより、

その川沿いの道にかかっている橋では、よく事故が起こるそうです。

そういえば、あの時もその橋の横を通り過ぎていたんですね。

これが、僕が体験した、一番怖かった出来事です。

文章力不足のため、いまいち怖さが伝わらなかったかもしれませんが、

実際に体験すると、本当に恐怖という二文字を実感させてくれます。

それでは、また何か体験したときに、書きたいと思います。


できれば体験なんてしたくないんですけど・・・・・


貴公子Rでした。





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