« 第五十夜「名所・・・」ボウレンジャーさん談 | メイン | 「ブラック・ムツ◎ロウ伝説」いたこ28号 »

第五一夜「ある男子生徒の話」あかねさん談

初投稿です。よろしく。

中学のときに、先生から聞いた話だと思います。
結構、うろ覚えなんですが。

先生が数学(社会だったかも)の授業を受け持ったあるクラスに、
とても霊感の強い男子生徒がいたそうです。
まあ、そういう生徒は、クラスに一人はいるものです。
しかし、その生徒の話と言うのが一風変わった、
いかにも「あっちの世界」向きなやつなのです。

ある日、先生が授業のためそのクラスへ行くと、
生徒たちが例の男子生徒を囲んでいたそうです。
その男子生徒(仮にY君とします。)が、呆けたような、
何か異様な表情で座っていたそうです。
目の焦点もまるであっていないのです。
それに、Y君を囲んでいる生徒たちは、
Y君を椅子に座っているようにと、押さえつけていたそうです。
一体何事かと聞くと、生徒の一人が「Yが、おかしい。」と困惑顔で言った。
(確かこの生徒はY君の霊感体質について
ある程度詳しい一人で今更驚くような子ではない)
何があったのかと聞くと、
[Yが、体育着を持って外に行こうとする。
体育の授業だからと言って、何度とめても聞かない。」
今は、数学の授業のはずなのに。
生徒たちにY君を離すように言うと,
Y君は確かに体育着を持って出て行こうとする。
慌てて引き止めて、Y君を座らせて、
どうしたのかと聞くと、Y君は虚ろな声で

「先生、俺だけ時間が違うんです。」

と言うのです。詳しく聞くと、

「俺は、さっきの時間まで、数学の授業を受けていた。
だから今は、体育のはずなのに、
皆は、今が数学だって。俺の時間だけが他と違う・・・。」

どうも、Y君の時間の流れが他と人とは食い違っているらしいのです。
しかも、その現象は数日前から始まっていたと言っていたと思います。
Y君は、動揺しているらしく、様子がとてもおかしいので
「保健室に行って休め。」と勧めると、
Y君は「はい。」と虚ろに呟いて、出て行こうとしました。
しかし、先生はこのまま保健室に行かせては、
もう二度とY君が戻ってこないかもしれない、
という恐怖に捕らわれ「やっぱり行くな。ここに居ろ。」
と言い、Y君を教室にいさせたそうです。

先生は、あの時はとにかく怖かったと言っていました。
Y君は、今でも無事こっちの世界にいるんでしょうか。
まったく、「あっちの世界」と不幸な関わり方をした少年です。
いつ、異世界へ誘われるんだか判ったものではナイです。

About

2007年09月10日 23:11に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「第五十夜「名所・・・」ボウレンジャーさん談」です。

次の投稿は「「ブラック・ムツ◎ロウ伝説」いたこ28号」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35