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第二九夜「おじいや・・おばあが・・」しいたさん談

毎日ここを見なくちゃ一日が終わらない私、実は看護婦をしています。
資格をとって早12年。
怖い話が三度のご飯より好きなくせに、誰よりも怖がりで
気の小さいこんなヒトが看護婦なんてできんのかと
自ら危惧しておりましたが、なんとかやっております。

夜の病院なんて、いかにも何かありそうじゃないですか。
いないはずの病室からのナースコールとか、
無人のはずの霊安室からの読経の響きとか。いや~、一切ないですね。
同僚や先輩にもそういう経験はないそうです。
(ないと言っておいて実は隠しているというようなヒトはいないと思います。
みんなそんな事があったら自慢するに違いない。
そういうあっけらかんとした人ばかりですから。)
しかし、看護婦さんには霊体験をもつ人が多いというのは、
私の思い込みだったのかそれともマスコミに擦り込まれたのか?
と不満(?)に思う私にはひとつだけ夜勤での不思議な話しがあります。

ぜんぜん怖くないんですけど。

今年のはじめにインフルエンザが流行りましたね。
そのとき入院していたAさんもばっちり熱があがり、点滴をしていました。
90歳を越していたAさんは体力もなく、夜勤の私は

「急変(突然容体が重篤になる事)しないでね~。」

と祈りつつ、ドクターの指示の解熱剤を使うため、病室へ行きました。
で、必要な事をやりおえて、じゃあまた来るねと言う私に、
Aさんは何事か一生懸命訴えるのです。
Aさんはマヒもあってあまり何を言っているのかよく聞き取れないのですが、
どうも目線はベットを仕切るカーテンのレールの辺りを指すようでした。
それで、よく聞いてみると、「顔が・・顔が・・」と言っているのです。

「顔がどうしたの。」と聞くと、

「おじいや・・おばあが・・いっぱい・・おじいや・・おばあの・・顔が・・」

これは俗にいう、お迎えかしらと思いつつ、私はじっとそのカーテンレールと
天井の間辺りを見てみたのですが、なぁんも見えませんでした。

「なんにもないよ、Aさん。」

と言ってみましたが、Aさんは同じ事を繰り返すばかり。

「気のせいだよ」としか、私は言えませんでした。

やだなー、なんにもなきゃいいけどと思いつつ、
願い通りその夜は何事もなく過ぎました。
Aさんはその後しばらくしてお亡くなりになりました。
あの時、Aさんには、本当に「おじいやおばあ」の顔が見えていたのでしょうか。

たいした話でなくてすみません。
私にはそういうものは見えないんだなと実感した夜でした。

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Re: おじいや・・おばあが・・ 投稿者:のぼたんさん談

ふむ、ふむ。
実は僕の妻は霊能力者で、仕事柄、病室に出入りすることが多いですが、
最近病室の片隅に青白い顔をした男の子が立っているのを見かけるらしいです。

あれっと思って振り返るともういない。

どうやら、幽霊らしいといってました。意味不明だけど…。
やはり、看護婦さんは、霊感なんかないほうがいいように思います。

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Re: おじいや・・おばあが・・ 投稿者:しいたさん談


ほんと、なくてよかったです。

蛇足ですが、前記に付け加えて。うちは老人病院です。
1年で全ベッド数の約3割が交替するんですって。ね、リアルでしょ。

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2008年02月11日 19:09に投稿されたエントリーのページです。

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