まだまだある駅の怖い話。
これは、経験した先輩から直接聞いた話です。


ある日、ある駅で人身事故が起きました。
当事者は即死。すぐに死亡が確認されたので警察の管轄となりました。
(生きている場合は消防が病院へ運びます。生死不明の場合も。)
遺体は損傷がひどく、死体袋(毛布等でくるむ場合もある)の
他に黒いビニール袋が幾つか必要になるほどだったとのこと。

さて、走行路面の清掃も終わり開通となりました。
その日の当直は先輩ともう1人ベテラン職員の2名でした。
私も経験がありますが、事故当日の宿直は嫌なものです。
特に終電前のホーム点検が嫌でたまりません。
遺体のあった場所は清掃されており、
そこだけやけに綺麗なのでどうしても目が行ってしまいます。
当直の2人は、終電発車後構内の残留客の有無を確認して出入口を閉め、
残務処理をして事務室の隣にある仮眠室で仮眠をとりました。
眠ってどれくらい経ったのか・・・。
先輩はかすかな足音で目が覚めました。
夜中に駅構内で足音がするのは珍しくありません。
昼間出来ない工事等で業者さんが入ることがあるからです。
でも、その日は工事の予定など聞いていませんでした。
先輩が真っ先に思いついたのは「残留客が居たのか」ということ。
相方も同じく目が覚めたようで、2人で構内を点検しましたが誰も居ません。
それで再びベッドに入ったのですが、うとうとするとまた音がします。
仕方なくもう一度見に行ったのですが、やはり誰も居ません。
先輩はきっと何か機械の音だと無理矢理思い込み眠りました。
朝起きると、相方のベテラン職員が「全く眠れ無かった」と言います。
彼は、同じ仮眠室でも事務室寄りで寝ており、
先輩が眠ってしまった後もずっと足音が聞こえていたとのこと。
しかもその足音は事務室の外ではなく、中でしていたというのです。
とりあえず始業の準備をし、始発列車も無事見送り
早番の職員が出勤して交代し、ひとまず当直の仕事は終わり。
休憩室で食事をとろうとしていると、電話が鳴りました。
電話は警察からで、「昨日の人身事故の遺体を入れた袋が足りないんだけど、
そこにありませんか?」
見ると事務室の棚の上に黒いビニール袋が・・・・。