7、8年前、よく一緒に遊んでいたA姉妹。長野から東京に来ていて、二人で部屋を借りて住んでいました。その日彼女らの所に遊びに行った私は、姉が出かけていたので妹の方と二人して何やカンや、たわいもないことを話し込んで、楽しい時間を過ごしておりました。そうしているうちすっかり遅くなり、私はそこに一晩やっかいになることにしたのです。そんな時。Aの妹が突然こう言うのです。

「私らね、こないだオバケ見ちゃった」

こんな話でした。

その日、彼女は夕方に学校(専門学校生だった)から帰宅。妙に疲れた気がして、すぐ布団敷いて寝てしまったという。
その夢の中に、赤いスカートをはいた女性が現れた。見知らぬ女。うつむいて、ダラッと長い髪の毛を顔の前に垂らした女が、部屋の中に立っている・・・それだけなのに、怖くて怖くて目が覚めた。見るとバイトの時間だったので、妹は出かけたそうだ。
その後すぐ姉の方が帰宅したが、姉も何だかダルくて、床を延べて早々に寝入ってしまったらしい。しかしやがて、騒がしい気配と寝苦しさで彼女は目を覚ました。するとそこには・・・
覗き込むぼやけた顔、顔、顔。寝ている彼女の布団の周りを、ズラッと正座をした人々が囲んでいた。その連中が一人一人、彼女の顔を覗いていったという。姉は悲鳴を上げて飛び起き、明かりをつけた。誰もいない。
姉妹は怖くなってしばらく友達の家を泊まり歩いていた。しかしいつまでもそうしてはいられない。着替えを取りに行くついでに、友達に付いてきてもらい、訳は話さないで一晩一緒に泊まってもらうことにした。他人がいてもオバケが出るかどうか試したかったそうだ。
その晩・・・何事もなく過ぎた。次の日の朝、一緒に泊まった友達にこう言われたらしい。

「私さ、変な夢見たよ。赤いスカートの女が、部屋の入り口にじーっと立っている怖い夢。この部屋・・・何か出るでしょ」

姉妹は、とある人の助言により「さかき」だか「しきみ」だかの枝を部屋に置くよう勧められ、然るべく実行して以来、怖い目に遭わなくなったという。

「ていう、話でした。さ、寝よっか」

と話し終わると、Aの妹は明かりを消しました。

・・・・眠れるかぁぁぁ!!!!

オバケの出た部屋でぇぇぇぇ!!!!

かくて私は、赤いスカートの女の夢を見たらどうしよう?!と、うとうとしては目覚め、うとうとしては目覚めて、いい加減疲れてしまい始発前にそこをおいとましたのでした。

オバケの出た部屋に住んでいる皆様へおねがい。

「終電前に、必ずそのことを客にお知らせ下さい」(笑)