何年も前のことである。

その日、朝から妻が頭痛がするというのだが、これまでの経験で
言えば、それは大抵おかしな出来事の起こる予兆であった。
久々の休日で、ゆっくりした午後をすごそうと思ったのも束の間のことである。
けたたましい電話の音と共に耳に届いたのは、
友人のKが交通事故に遭ったという知らせであった。

「とりあえず行ってみるよ」

と、そう妻に言い残して私はKのいる病院に急いだのである。

「おいおい、大丈夫か?」

Kの顔をのぞいた。
青ざめてはいるが、しっかりした顔つきをしている。
包帯で吊るした右足と、腕にした点滴の管が痛々しい。
だが、もう普通にしゃべれる。

「けっこう血が流れたらしい。このくらいですんでよかったよ。」

「ぶつけられたのか。」

「うん、…というか、弥太郎がついに俺のところへ来たのだ。」

「えっ」と、私はその言葉にはっとした。

と、同時に背筋に冷たいものが走るのを感じた。
実は日ごろKから冗談のように聞いていたことだったが、
彼は弥太郎に呪われた一族の末裔だったのである。
それは、一族が必ず受けなければならない「禊」(みそぎ)である、と彼は言う。
Kは自分は本当に運がよかったのだと、しきりにいった。

「とにかく、ちょっとでも歩けるようになったら、すぐに国に

帰らなければならない。弥太郎神社に行かなければ…。」

…と、ここまで書いたことによって、言霊が飛び、
私自身が弥太郎の祟りにあいはしないかと、ふと不安になっている。

少し、考える時間が要る。

ともあれ、長くなりそうなので、一度筆を置くことにする。



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Re: 弥太郎  投稿者:Ciel改め結城さん談

めちゃくちゃ恐い&気になります・・・・・

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Re: 弥太郎  投稿者:ナミィさん談

う~~ん、最近
前編・後編多いなぁー(笑)
早く、聞かせてくださいねっ!!