「あっち」シリーズの中に、夢の中だけに出てくる街の話がありましたね。私の場合を思い出したので書きます。

その都市を私は勝手に「マンハッタン」と呼んでいました。ビルが建ち並び、ネオンの華やかな、多種多様な人種であふれ返る賑やかなところでした。マ○ケルジャ○ソンもカラスマスクで踊っていました。少し行くと電車が走っていて五反田駅もありました(注:東京のJR山手線の駅で、駅前は風俗の店が一杯)。
日々、いや、夜な夜な「マンハッタン」で買い物をしたり、ラーメンを食べたり、五反田駅から電車に乗って温泉に行ったりして楽しく遊んでおりました。

マンハッタンに行き始めてから10年目のある夜。
バス停にいた私の前に、ギィ~と白煙を出しながら激しくバスが止まりました。や、いなや、扉が開くと「ブルース・ブラザーズ」の映画に出てくるような黒ずくめの軍団が、わめき叫びながら飛び出してきたのであります。
手には銃。
うわわ、バスジャッカーだ!!
男たちはバス停にいた我々に、地面に伏せろ!と命令しました。周囲が騒がしくなり、パトカーの音もします。気が立った犯人達の黒いエナメル靴の動きがせわしなくなり、わめき声と共に冷たい銃口が私のコメカミに。
・・・パァ~ン!
撃たれたのでございます。
やられたー。
頭がカーッと熱くなり、地肌がべろべろに濡れ、きもちわるーい。なまあったかーい。あ~あ、マンハッタンを横様に眺めながら、こんなつべたいコンクリの上で死ぬのか・・・私の人生もう終わり・・・死ぬって、なんだかスーッとしていい気持ちだなぁ・・・うっ・・・いや・・・気持ち悪くなってきた・・・うぇ~、苦しい、貧血、貧血、血がもうないよ、気持ち悪い、苦しい、助けてくれ~っ!!

当然、目が覚めました。
私は夢の中でそのまま死んでしまったらしく、以来マンハッタンには行っていません。
それは25歳の誕生日の朝でした。