私の実家の話なんですが。代々伝えられてきた古~いお雛様があります。子ども心に大きなお顔と人間地味た表情がこわくて苦手でした。
 とにかく大きなひな壇なので飾るにも仕舞うにも一日がかりで大変です。母は私たちのためにというよりも、義務のように毎年、お雛様を飾っていました。なんで?私たちはもう大きいからもういいじゃん。でも母は毎年飾らないと必ず家族の誰が病気になったり怪我をするのだといいます。
 古いお雛様には不思議な力があるのでしょうか。私の覚えているかぎりでも確かに災いはありました。
 雪が多く積りお雛様がしまってある蔵がすっぽり埋まってしまった年がありました。母はなんとか頑張ったんですが、どうしても蔵の入り口が見つかりません。あきらめてその年の雛壇は飾らないことにしました。そしてしばらくたった頃、すぐ上の姉が原因不明の病気で入院。半年ちかくの治療と検査の結果、卵巣に腫瘍が見つかり手術で摘出することになりました。
 母はお雛様の怒祟りではないかと考え、時期はずれではありましたがお雛様を飾りました。そうすると姉の体は回復し始め腫瘍も消えていきました。
 母から長姉に代が替わってからもお雛様を出さなかった年は姪が作業機械に巻き込まれたり、入院したりと何かしらあります。姉も最初は信じていませんでしたが、飾らない年は必ず何かあるので今では母の仕事を姉がしています。
 それと本家に男の子が生まれにくいのも関係があるのでしょうか?私も次姉も結婚して男の子がいますが、本家を継いだ長姉の子どもは三人とも女の子です。どうなんでしょう??
 実は私、本音を言えば、お雛様より一緒に飾られる何十体もある日本人形が怖いんです。代々、女の子が生まれると買って貰ったお人形たちが一杯ずら~っと飾ってあって怖い!!持ち主はもう何十年、何百年前に死んでいるのに...。
 高校生の頃、試験勉強で遅くまで起きていると、よく金縛りにあいました。そんな時、よく現われるのが一番大きいお人形で、金縛りで動けなくなった私の顔をただじ~っと見つめていたり、赤ん坊みたいな小さい手でペタペタ触って来たりと怖かったよ~。
 でも不思議なことにそのお人形の持ち主は今も健在で暮らしており(私の叔母です)なんで出てくるの??って感じ。
 とにかく、昔からの旧家であるせいか結構いろいろ怖い経験していました。結婚して実家から離れて暮らすようになってからは、金縛りも怖い体験もなくなったのでホッとしています。